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2006-02-28

[][]870 00:51 870 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 870 - 雲上読記 870 - 雲上読記 のブックマークコメント

疾走!千マイル急行〈上〉 (ソノラマ文庫)

疾走!千マイル急行〈上〉 (ソノラマ文庫)

 うーん、面白くない……。

 列車を舞台にした小説は『TRAIN+TRAIN』『バッカーノ』『アリソン』とライトノベルでしか読んだことがなかったが、そのいずれも面白かった。限定的とは言え、閉鎖環境内で繰り広げられる人間ドラマと旅をしている感じが好印象。本書はどうかと言うと、今ひとつ。列車好きは楽しめるのであろうトリビアがちょっと多いのと、何処で盛り上がればいいのか今ひとつ分からない展開に、そして妙にライトノベルが意識されているキャラクタ作り。ローラインなんて、ツンデレのテンプレート。下巻に期待。

[][]871 11:21 871 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 871 - 雲上読記 871 - 雲上読記 のブックマークコメント

疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

 残念ながら最後まで物語に入り込むことが出来なかった。と、言うか本書の在り方を勘違いしていた。結局のところ、表の主人公テオと裏の主人公キッツが主軸に、新しい国が出来るまでを描いたものなのかな。てっきりこのふたりに、ローラインとアルバートを加え四人を主人公に「一夏の」的な気軽な冒険小説が繰り広げられるのかと思いきや、よく分からない、もっと重々しい方向へと物語が流れてしまい首を傾げてしまった。なんだかなあ。

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2006-01-24

[][][]807 12:57 807 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 807 - 雲上読記 807 - 雲上読記 のブックマークコメント

 秋山大号泣。

 四編の短編から構成されている短編集。『第六大陸』を読み、『導きの星』と『復活の地』に少し手をつけ、本書に収録されている最初の作品「ギャルナフカの迷宮」と「老ヴォールの惑星」を読み、小川一水のテーマというのは「未開の領域に人間社会を創造すること」ではないのかと少し思った。「ギャルナフカの迷宮」は優れた冒険小説でもあり、読んでいて非常に興奮した。そのテンションで表題作である「老ヴォールの惑星」に取り掛かったら、あまりの難易度の高さに目眩を感じた。それでも何とか読み終え、続く「幸せになる箱庭」で再び打ちのめされそうになった。前者はガチガチのハードSF(ではないかと思われる)、後者はありったけのSFを詰め込んだ辛味の効いた短編だった。では、最後の「漂った男」がいかなる感動を届けてくれるかと期待したところで、冒頭の一行に戻る。大号泣、である。想像を絶する孤独と時間。最後の、文字通り全てを畳みかけるかのような熱い展開。これは素晴らしい。アニメ化するなら是非、古屋兎丸で。

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2004-07-01397-419

[][][]第六大陸2 第六大陸2 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 第六大陸2 - 雲上読記 第六大陸2 - 雲上読記 のブックマークコメント

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

 月面に結婚式場を建てる――第六大陸建設計画の立て役者は揃い、月の永久凍土内に水が存在することがわかり、もはや第六大陸の前進を阻むものは何もない……そう思われた直後。NASAによる月面都市建設計画、国際法、ELE社の離反。様々な壁が第六大陸の前に立ちふさがる。果たして計画の命運は。

 夢が叶う瞬間というものが、まさかこれほどまでに涙を誘うものだとは。多くの犠牲を払い、困難に打ち勝ち、十二年という時の流れの最果てに待ち受ける結末。すべての確執に決着をつけ、ドラマを見せ、問題点に解決策を出す。見事なまでの完成度。素晴らしい作品だった。――が、正直を言うと、一巻ほど面白くなかったと言うのが残念なところ。物語上、仕方のない流れなのだろうけれど、最後の最後で登場するSF的要素がちょっと気に食わない。さすがにそこまでする必要はないんじゃないだろうかと言うか、物語としての完成度を落としていると言うか。小川一水の他の作品とのリンクなのか? と思わず疑ってしまうほど不自然。勿体無い。

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2004-06-01368-396

[][][]第六大陸 第六大陸 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 第六大陸 - 雲上読記 第六大陸 - 雲上読記 のブックマークコメント

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

 サハラ砂漠南極大陸、ヒマラヤ山脈、海中――数々の極限環境下で建設を物にしてきた御鳥羽総合建設に、月面開発計画が依頼される。2025年、御鳥羽総合建設・天竜ギャラクシートランス社・エデンレジャーエンターテイメント社、幾つもの人々が協力しあい、人類の、月への架け橋を築く。

 SFを根底にライトノベルの手法を取り入れており、セカイ系ではない。本書を一言で説明するとそうなるだろう。最初から説明しよう。まず2025年という近未来を取り扱っているのだが、世界観が非常に緻密で現実的。しっかりと社会の情勢――日本は勿論、日本以外の国家もその特徴を抑え不自然にならない程度に――を捉えており、さらに金銭面も考えられている。場所によってはやや不自然に思わないでもないが、検証が多く、全体に隙がないと言えるだろう。次にライトノベルの手法を取り入れていると言うのは、登場する人物がちょうどいい具合にキャラクタライズされているのだ。努力屋で理想を高く掲げているものの冷静な主人公、幼くして天才と呼ばれる美少女、孫のよき理解者であり理想的な会長、部下思いで夢を現実にすることにひたすら熱い社長、現実的で損得勘定に有能な美女、その他大勢。もうこれ以上は無理というぐらいなまでに有能な人物が揃いに揃っている、しかしこれだけ魅力的な人物を揃えておいてなお、月の環境は苛烈を極め、発生確率数パーセントの異常事態が発生し、世間からバッシングを食らい、他国に参入され、もうとにかく泣きっ面に蜂なのだ。しかしそれでも彼らは諦めず前へと進み、月に人が住める建物を建てようと努力する。読みながら、どんどん作中に引きずり込まれ、終盤にあった大きな企画が成功したときには思わず泣きそうになった。今すぐに後編を、そして他の著作を可及的速やかに読みたいと思わせる、間違いなく傑作。

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