雲上読記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-10-04

[][]712 23:44 712 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 712 - 雲上読記 712 - 雲上読記 のブックマークコメント

ツ、イ、ラ、ク

ツ、イ、ラ、ク

 前振り長すぎ、中弛みしすぎ、エピローグ長すぎ。結局、作者は何を言いたかったのだろうか。

 id:seiitiさんが絶賛していたので、いつか読まねばならぬまいと思いつつ原稿用紙950枚という分量に手が出せず、ついに読んでみたのだが全く面白くなかった。中盤まで主人公だけでなく、他の登場人物にもかなりの分量を割いて語っているので、物語の軸というが骨子となるものが中々、見えてこなかった。主人公とその恋の行方が見えてきたかと思うと、即座に収束してしまい、エピローグに入ってしまう。その間も、主人公もその恋人も、その他の登場人物も全員が等価に描かれているから、個々の印象が非常に薄い。あるいはこの小説に主人公なる人物は存在せず、かつて同じ小学校で幼少時代を過ごした全員が主人公ということなのだろうか。どちらにせよ非常に退屈だった。

 また、作中に度々、作者が顔を覗かせるのも気に障った。フェミニズムに関する言説を展開させたければ作中の登場人物に口を開かせるか、エッセイを書くべきである。言いたいことは分かるが、地の分に独り言を書いてしまうなんてやってはいけないことの最たるものだ。酷すぎ。

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2004-08-01420-436

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終業式 (角川文庫)

終業式 (角川文庫)

「この本では、登場人物が何をしたのか、どこで何があったのか、すべてが手紙のなかに秘められています。それを解くのは読者です。手紙やメモ、FAXの一つ一つにどのような想いが託されているのか、感じとるのも読者のあなた自身です」高校時代に同じ時間を共有した四人を中心に、流れるときとその行き着く先が文書という形だけで書き尽くされている。

 これは素晴らしい。最初は正直、何が何だか訳が分からない上に、作者の意図していることや、読者がどう楽しむのか読めてしまった。つまり地の文による作者の説明も、登場人物たちが実際に会ったり電話したりで交わした会話も一切ないため、読者は突発的に与えられている手紙を、拾い集めるようにして読んで、断片を集める、つまりジグソーパズルを集めるようにして楽しむしかないのだ。実際に読んでみて、その通りであった。しかし実際には、想像を凌駕して面白かった。手紙の末尾に書かれている署名を見て、その手紙の送り主に驚いてみたり。その手紙が投函されなかったことを知って落胆したり。すれ違うふたりの手紙に嘆いてみたり。手紙を見て、ふたりの会話の想像がついてしまったり。素晴らしい、とにかく素晴らしい。それに最後の手紙の送り主を見た瞬間は、思わずため息が出てしまった。もう敵いようがない。本書の素晴らしさは解説にて、丁寧に説明されているので興味を持たれた方は、まずはそれを立ち読みしてほしい。そして本書を読み、全てのフラグメントが指し示すたったひとつのオブジェクトに至って欲しい。

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