雲上読記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-01-01513-524

[][][]掌の中の小鳥 掌の中の小鳥 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 掌の中の小鳥 - 雲上読記 掌の中の小鳥 - 雲上読記 のブックマークコメント

掌の中の小鳥 (創元推理文庫)

掌の中の小鳥 (創元推理文庫)

 これは素晴らしい。とても素晴らしい。

 五つの短編からなっているのだが、短編集とも連作短編とも違う。基本的に日常の謎だけしか取り扱っていないのだが、叙述トリックも放っているし、何よりも構造が見事なのだ。基本パターンとしては、一見、関連性の薄そうな逸話が来て、謎をにおわせる事件が起こって、両者を見事に繋げて解決してくれるのだ。解決はどれも現実的で、謎を一寸の隙なく解決し尽くした上に夢を残している。それが五連発。紛うことなき、傑作だろう。

 解説も凄まじい。ミステリ系の人はご存知、佳多山大地なのだが、これは解説を通り越して解体である。作品のひとつひとつを取り上げて、事件の起こりから解決まで、どこが魅力的なのか、どこが優れているのを極めて端的に偏執的なまでに指摘してくれるのだ。中には、筆者が敢えて書かなかったのだろうなと思われるところまで佳多山は指摘している。素晴らしい。解説、素晴らしい!

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/sinden/20050101

2004-09-01437-454

[][][]スペース スペース - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - スペース - 雲上読記 スペース - 雲上読記 のブックマークコメント

スペース (創元クライム・クラブ)

スペース (創元クライム・クラブ)

 デビュー作『ななつのこ』とその続編『魔法飛行』に続く、駒子シリーズ第三弾。ファンが長らく待ちわびていた本書も、手紙を重要な要素と扱っており、『スペース』と『バック・スペース』という二部構成が、見事な妙を見せている。シリーズの主人公である入江駒子がメインを張るのは『スペース』だけなので、『バック・スペース』はやや物足りなさを感じたが、終盤になって自分が加納朋子に求めていたものがしっかりそこにあったので大変、満足。『ななつのこ』も『魔法飛行』も、勿論、本書『スペース』も素晴らしくどれか一冊これと挙げることができない。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/sinden/20040901

2004-07-01397-419

[][][]ななつのこ ななつのこ - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - ななつのこ - 雲上読記 ななつのこ - 雲上読記 のブックマークコメント

ななつのこ (創元推理文庫)

ななつのこ (創元推理文庫)

ななつのこ』という本を衝動買いした入江駒子は、その作者にファンレターを書こうと思いたつ。そのファンレターに彼女は、本の感想のおまけに、最近、身の回りで起こったちょっと不思議な出来事をつけたした。……返ってきた手紙には、なんとちょっとした事件に対する想像の“解決編”がつけられていた。

 第三回鮎川哲也賞受賞作。七篇の短編連作という形式を取っていながら、最後の一篇で、それまでの話が実はすべて関係しており、ひとつの長編小説だったと明かされる……と人から聞いていたのだけれど、実はそこまで完成度は高くなかった。とは言え、最後の一篇が明かす真相の存在感は大きい。ところで自分は本書が描いている人間の方をより重要視したい。主人公は十九歳の女子大生なのだが、その存在が非常にリアルで、とても親近感が持てる。各短編で扱われているテーマも、緻密で繊細なもので、読みながら何度も泣いてしまった。こういう本こそ大人は若者に紹介するべきではないだろうかと思う。

[][][]魔法飛行 魔法飛行 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 魔法飛行 - 雲上読記 魔法飛行 - 雲上読記 のブックマークコメント

魔法飛行 (創元推理文庫)

魔法飛行 (創元推理文庫)

 瀬尾という童話作家から「小説を書いてごらんよ」と言われた入江駒子は、現実にあった事件を小説風に描いてみることにする。瀬尾に向けた三つの事件の物語と、誰にも向けられていない物語と、発表されていない物語をまるで知っているかのように届く三通の手紙。

ななつのこ』に続く駒子シリーズの第二弾。主人公の駒子が遭遇した事件を探偵役に伝えて、探偵が“解決編”を空想するという点は前作と同じだけれど、今回はさらに駒子の小説の読者から、その事件の真相を知っているとしか思えない手紙が届く。謎の手紙は、最後の一篇によって全ての事件を繋ぐ一本の糸となり、その流麗なラインは前作のそれを凌ぐ。本書はそれほどエンターテインしていないので、作者から与えられるものをただ受けとって楽しみたいという人には不向き。作中に散りばめられた宝石を、拾い集めるようにして楽しむのが正解。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/sinden/20040701