2006-02-09
■ [小説][ほしおさなえ]838


- 作者: ほしおさなえ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/07/08
- メディア: 単行本
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挑戦したいことは充分に理解できるし、今まで誰も考えたことがないような構造を持つ作品を出したいというのは共感さえする。しかし、幻想小説にも青春小説にもSFにもミステリにも届かない。敢えて言うならば、ほしおさなえという新しいジャンルなのだが、一個のジャンルとするには余りに力不足。
とにかく書き出しは魅力的なのだ。書き手の分からない謎めいた手記に、白骨死体と日付の刻印されたボールペン。単体なら問題ないが、両方一緒では時間的に不都合が生じる、という実に魅力的な謎が提示されているのだ。この謎を論理的に解決すべく、ドッペルゲンガーやタイムスリップなどが、まるでミステリのガジェットのように取り扱われるのだが、どうしても、弱い。もう少しパンチ力があれば面白いのだが。
■ [雑誌]839


STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 03月号
- 出版社/メーカー: INFASパブリケーション
- 発売日: 2006/02/06
- メディア: 雑誌
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批評家たちによる座談会や編集者へのインタビューに加え、ブックガイド的利用価値が高いと思い購入。
CAXさんが「00年代小説リスト120冊」をリスト化している(http://d.hatena.ne.jp/CAX/20060207/studiovoice_00novel_120)。ジャンルが多岐に渡っているので、既読未読調査を行っても100冊以上読んでいる人は少ないだろう。秋山はどちらかと言うと、00年代翻訳小説リスト30や、最有効ブックガイド15に魅力と興味を感じた。値段もそう高くないし、面白そうな本を探している人は買いだろう。ライトノベルやファウスト系から脱却したい人は、その足掛かりとして特にオススメ。
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