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■ [小説][結城充考]奇跡の表現


- 作者: 結城充考,KEI
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
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「地味な展開だが、感動する」という前評判を聞いた。物語は獣型の機械の身体を持つ男が、ある修道院で働くところに始まる。彼はかつて裏世界に生きていた男で、妻と娘を失うと同時に根源的暗殺者と呼ばれるクローン人間を殺したことで伝説を持っている。そんな彼は、老いることにだけ人生を使う男になることに決める。しかし、修道院に組織の手が伸び……というもの。掴みは最高、確かに地味で堅実ではあるが、大いに期待できると喜び勇んでページを捲った。が、結末は思っていたより感動的ではなかった。ちょっと期待しすぎたかもしれない。下手というわけではないし、つまらないという訳ではない。良質の感動物に違いないと思って読み進めると足を掬われるぞ、と言うこと。それなりには楽しめた。
■ [雑誌][桜坂洋]SFマガジン2004年9月号

桜坂洋「さいたまチェーンソー少女」面白い。電波的な内容であるし、結末に首を捻りもするのだが、流れるような文章は読みやすく、その展開も楽しめた。佐藤友哉の新潮掲載作が面白く読める人間は、読んでおいていいだろう。
■ [雑誌][桜坂洋][海猫沢めろん]SFマガジン2005年7月号

「ぼくたちのリアル・フィクション2」というわけで次世代型物語を特集している。
桜坂洋「遊星からのカチョーフーゲツ」「さいたまチェーンソー少女」の姉妹編。前作より落ち着いた雰囲気が漂っていて、でも根底に流れる奇妙な感じは似通っていて、面白く読めた。
海猫沢めろん「零式〈前編〉」抜群に面白いという訳ではないけれど、読ませてくるし展開も悪くない。後編が楽しみ。
■ [小説][宮部みゆき]火車


- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/01/30
- メディア: 文庫
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宮部みゆきの最高傑作と名高い『火車』を手にとってみた。中身は非常に綿密に計算され、資料も読み込まれ作られたハードボイルド、であった。確かに数十ページおきに、新たな新事実が発覚し、そこで物語が一時的に加速するのだが、全体的には聞き込みに次ぐ聞き込みで冗長さを感じてしまった。最後は収まるべきところに収まったと言うか、とうとう終末に辿りついたというか、その結末に絡みあう登場人物たちの思惑に一抹の感動と共に薄ら寒い何かを覚えた。