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2004-12-01501-512

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リピート

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 くあああああああ、激上手ッ! 大・快・作!!

 四次元殺法ッ、メビウスの環! 限りなく本格に近い……思考実験の罠が読者を待ち受ける。『リプレイ』プラス『そして誰もいなくなった』割る一の奇跡。もはや、乾くるみは、傑作しか書かないのか! 秋山絶賛。

 さて、本書はいわゆる時間物である。その中でもループ物と言われる、いわゆる主人公が時間を遡って前とは異なる選択肢を選べるというかたちのもの。この話は風間というリピーターを名乗る謎の男と、主人公たち男女九人からなる十人のゲストが軸となっている。リピーターと九人のゲストは、十ヶ月ほどの時間を遡り、短期間ながら第二の人生を送ることができる。が、何故か選ばれた九人に続々と不可解な死が訪れて、やがて最後には……といったもの。帯に「限りなく本格ミステリに近い」と謳われているように、物語は極めて論理的に進められるし、現実的なものから夢物語としか思えない推理まで乱発される。またリピートの謎や、リピーター殺しの動機も理不尽でなく、悲しくて悲しくて涙を流すほどに、残酷なまでに冷徹に証明される。一寸の過不足もない、最後の最後まで抜かれていない手が、一切の容赦なく読者を切り捨てる。このキレ味の鋭さ、快さ。素晴らしい、これこそ大快作、大傑作。

 とにかく素晴らしい。『イニシエーション・ラブ』のときは最初から最後の二行にどんでん返しが来ると分かっていたから、警戒して読んだ。が、騙された。今回は帯のあおり文句と乾くるみという作者名から、最後の最後に至るまで努々、気を抜かずに全力で挑んだ。しかしっ! それでもっ! 乾くるみは読者の想定したラインを軽々と越え、予定調和的に完璧な一点に物語を収束させ、これ以上はないと言わんばかりの(了)を作ってしまう。素晴らしい、いっそおぞましい程に素晴らしい。

 幾つか文句をつけるならば、主人公の心理が気に喰わないこと(個人的だなあ)と、最後の三行がまだまだ行けるはずだということ。実際、もう少し彼女との関係性に文字数が裂かれていれば、ラストの諦観に満ちた独白は、切々と深々と読者の中に降り積もるのではないだろうかと思う。

 それにしても素晴らしい。全てのテーマが、全てのモチーフがとても好きだ。『イニシエーション・ラブ』のときは伏線が見事だった。全編是即ち伏線と言わんばかりの伏線が圧倒的で、再読しないことを許さない完成度があった。しかし、この場合、やはり再読時に真価が現われることが多い。言わば、後からこみ上げてくるような驚きだ。そういう酩酊感も悪くないが、やはり自分は本書のような伏線もあり、本格ミステリもあり、SFもありな作品が好きだ。欲張りと言われようが何と言われようが、好きなのだから仕方がない。そして自分の嗜好に答えくれるのが乾くるみ、その人である。

 実を言うと彼の著作で『匣の中』と『塔の断章』は未読だ。『匣の中』を読むために『匣の中の失楽』を読んだのに、筆致が苦手で放り出してしまったのだ。考えてみれば麻耶雄嵩もそうだ。デビュー作を読んで筆致が気に入らず、目を離していれば傑作ばかり出す作家になっていた、と言うような。それにしても素晴らしかった。2004年乾くるみ麻耶雄嵩、後は谷川流の年だったということでいいや。何か、異議ある?

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