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■ [エッセイ][森博嗣]工作少年の日々


- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/07/26
- メディア: 単行本
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これは森博嗣の小説以外の作品の中で、かなり上位に入ってくる作品だろう。帯に初の連載エッセイと書いてあるのだけれど、『小説すばる』に連載されたものをまとめたエッセイ集である。森博嗣作品でエッセイ集というのは、割と多かった気がするが、その大半は他のいかなるジャンルに分類することもできず、仕方なくエッセイと言われているようなものだ。日記とかチャット集とか質疑応答集とか、普遍性のないジャンルを世間は認めてくれないらしい。
小説以外の作品の中では上位に入ると言ったが、その理由は本書にはかなり森博嗣色が凝縮されているのだ。例えば日記などの場合、森博嗣らしさは妙に分散されていて、溢れかえる文字列の中から森博嗣特有の詩的さやシニカルさを拾い上げて楽しむのだが、本書の場合、探さずともそこにあるというぐらい森博嗣に溢れている。ファン以外の人間には、全く、何を言っているのか意味が分からないと思うが、森読者であれば共感が得られるだろう。本書はかなりサービスされており、濃く楽しめる。Vシリーズを読んだ後に、S&Mシリーズを読むような感じである。
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