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2004-09-01437-454

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殺意の集う夜 (講談社文庫)

殺意の集う夜 (講談社文庫)

 なんと言っても裏表紙のあらすじが傑作。「嵐の山荘に見知らぬ怪しげな人たちと閉じこめられた万里と園子。深夜、男におそわれた万里は、不可抗力も働き彼ら全員を殺してしまう。その後、園子の部屋へ逃げこむと、園子も死体となっていた。園子を殺したのは誰なのか。驚愕のラストまで怒涛の展開。」中でも注目したいのは「不可抗力も働き彼ら全員を殺してしまう」の部分。そう、主人公の万里は、お爺さんにセクハラされそうになり、そこからドミノ倒し敵に六人の男女を殺してしまうのだ。そして大量殺人犯となってしまった彼女は、園子を殺した犯人に自分の罪をもなすりつけようと画策する。掴みは正に十二分、これこそミステリなオープニングに思わずがっついてしまった。

 が、結論としては今ひとつ。最後の一行で、それまでの記述のすべてが引っくり返されるフィニシングストロークは、途中でなんとなく予感してしまいその効果を十全に発揮しなかったし、あまりに多くの伏線を(むしろ最終章に至るまでのすべてが伏線と言ってしまっても構わない)回収するために、終盤付近は説明に尽きてしまっていて、なんとなくグダグダしてしまった感がある。

 とは言え、嵐の山荘の内側から事件を語る万里と、外側から事件を追う刑事の三諸のふたりが、最後の最後で交錯する場面は圧巻だし、圧倒的な量の伏線を紡ぎそれを完璧に操りきっているのも素晴らしい。読書スピードが遅く、下手に邪推しないミステリ初心者にこそ相応しい一冊なのかもしれない。

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