雲上読記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2004-05-01363-367

[][][]Astral2 childhood's end Astral2 childhood's end - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - Astral2 childhood's end - 雲上読記 Astral2 childhood's end - 雲上読記 のブックマークコメント

Astral〈2〉childhood’s end (電撃文庫)

Astral〈2〉childhood’s end (電撃文庫)

 幽霊を霊視することができる高校三年生、須玉明が主人公のシリーズ第二巻。ある夏の日、母をなくす前に住んでいたマンションを訪れた明は、そこで二十代半ばの女性の幽霊と出会う。二十年前に命を落とし地縛霊となった彼女は、今年で生前の自分と同い年になる娘の様子を見てきてくれと明に頼む。娘の居場所を見つけだした明だったが、彼女の口から語られた真実を知り、母親の幽霊へ怒りとかなしみを抱く。

 電撃hp25号に掲載された「花と鳥」に、書き下ろし短編「わたしの世界」「静かな海」と掌編「明の休日」を加えた連作短編集。このシリーズは、一巻の後半から面白く、そして泣けるようになってきて、この巻では全編通して面白い。鈍感でお人好しの主人公は、好感が持て感情移入もできるし、今後メインとなっていくであろうヒロインの登場回数も多かったので、より有機的になり一冊の本としての完成度が上がっているように思えた。副題のchildhood's endは、子供時代の終わりと意訳でき、失われた母親や昔の自分といったテーマが、幽霊という心霊的要素を用いることで上手く表現できている。(2003年12月・電撃文庫

[][][]とある魔術の禁書目録 とある魔術の禁書目録 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - とある魔術の禁書目録 - 雲上読記 とある魔術の禁書目録 - 雲上読記 のブックマークコメント

 超能力者たちが駆使するあらゆる『異能の力』を無効化(ディスペル)する、幻想殺し(イマジンブレイカー)をその能力として持つ上条当麻。偽善使い(フォックスワード)を自称する彼は、ある日、マンションのベランダで禁書目録(インデックス)を名乗るシスター服の不思議少女と出会う。その日の午後、上条は、インデックスが有する十万三千冊の魔道書を求めて彼女を追いかける魔術師と激突し、彼女を守るために神様奇跡(システム)であっても打ち消す異能力でもって対抗する。

 散りばめられたルビと傍点、オタク知識に優れ後ろ向きで純粋な主人公、目許にあるバーコードの刺青、ワイヤー使い、幼児体型の教師……作者の読書遍歴が見てとれる、正に時代が生んだ一冊。間違いなく西尾維新うえお久光谷川流の後継者に位置するが、「主人公が自ら拳で戦う」という点において同人からプロデビューした奈須きのこにより似ている。三人称と一人称が入り混じった悪文に加え、青臭い科白があまりに多すぎて人によっては読むに耐えないのだけれど、ライトノベル愛読者およびライトノベル研究者には必読の一冊かもしれない。(2004年04月・電撃文庫

[][]キャラねっと 愛$探偵の事件簿 キャラねっと 愛$探偵の事件簿 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - キャラねっと 愛$探偵の事件簿 - 雲上読記 キャラねっと 愛$探偵の事件簿 - 雲上読記 のブックマークコメント

キャラねっと―愛$探偵の事件簿

キャラねっと―愛$探偵の事件簿

 セイ暦2001年、現代に類似した架空の世界では『キャラねっと』と呼ばれる「オンライン学園R.P.G.」が学生たちの間で流行っていた。13歳から19歳までのみをユーザと認めるこのゲームは「@スクール」と呼ばれる仮想の学園を舞台とし、キャラ同士の交流やイベントを通し、卒業までに成人度100パーセントを迎えることが目標となっている。主人公の池丸大王は、この“バトルで負けても倒れるだけ”というゲームの中、何者かによって殺されてしまう。池丸大王2としてゲーム内に復帰した彼は、自分を殺した真犯人を求めて調査を開始する。

 ライトノベル文芸誌ザ・スニーカー』にて連載された短編「みすてりあるキャラねっと」「めいきゃっぴキャラねっと」「であいまちょキャラねっと」の三篇に、書き下ろし掌編を加えた短編集。「みすてりあるキャラねっと」は2002年11月に角川スニーカー文庫より発売され、その頃は横書きに加え、作中におけるゲーム画面を模したイラストや画像がふんだんに使われた意欲作となっていたが、本書は二段構成のノベルスでイラストの類も少なめ。紙質やデザイン装丁は格好いいのだが、作者があの清涼院流水であることに加え、元々ライトノベル文芸誌で連載されたものだったことを考慮すれば、初めての人にはあまりお勧めできない。(2004年03月・角川書店

[][]池袋ウエストゲートパーク 池袋ウエストゲートパーク - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 池袋ウエストゲートパーク - 雲上読記 池袋ウエストゲートパーク - 雲上読記 のブックマークコメント

池袋ウエストゲートパーク (文春文庫)

池袋ウエストゲートパーク (文春文庫)

 池袋を舞台とした青春ハードボイルド。主人公のマコトは地元の工業高校を卒業した後、母親の経営している果物屋を手伝いながら西口公園でダラダラと日々を過ごしている。どのギャング団にも属していないマコトだが、責任感に重く人望を集めているゆえ、ときにはヤクザから人探しを依頼されることもある。池袋を他の誰でもない池袋のままにするため、マコトは今日も事件を解決していく。

 第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞した「池袋ウエストゲートパーク」に「エキサイタブルボーイ」「オアシス恋人」「サンシャイン通り内線」を加えた短編連作集。ドラマ化されたものを見てから興味を持ち、原作を手に取ってみたのだがあまりの違いに驚いた。ドラマ版では池袋に暮らす個々人に焦点が当てられ、それらを実にスマートに描いていたのだけれど、原作においてそれらは影をひそめていた。また、歯切れの悪い体言止めと断章構成から、読みつづけるのが苦痛でさえあった。けれど読み進めていくうちに、主人公にも感情移入できるようになり、筆致もリズム感溢れるようなものに思え、ぐいぐいと作品の中に引きずり込まれていく自分自身に驚きさえした。文庫版の解説は、池上冬樹。(2001年07月・文春文庫

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/sinden/20040501