『虚人たち』

『虚人たち』

作品紹介

キョジンタチ 中編小説

"父=夫=主人公"が本作品の冒頭でぼんやりと意識をとりもどすと、驚愕の事態が発生していた。"娘=若く美形=登場人物"と"妻=美貌=登場人物"とが、同時に別々の犯人グループによって誘拐されていたのだ。

妻と娘を救出しようとする父とその"息子=登場人物"。ふたりを取り戻すべく、車を出し、夜を縫って追跡をはじめる。そして、「娘が誘拐される小説も、妻が誘拐される小説もあったけれど、妻と娘が同時に誘拐される小説は、なかったんだ」、との指摘が父と息子の乗る車中で展開される。そのあいだにも、無情に時間は流れていく。

小説を舞台に"主人公"をはじめとした"登場人物"たちが、ときにはメタな言説をさし挟みながら、"登場人物"としての自分の役割りを果たそうとしたり、"役割り"を放棄して自分の物語を紡ごうと試みたり、といった類の、(しかし実はそれも予定されたとおりの)行動をとっていく。

そして時間の経過に沿って、"主人公"の思念は、拡散したり収束したり、一時的に停止したりしながら、規定された"物語の結末"へと向っていく。

著者

筒井康隆

レビュー

収録作品と初出

初出は198x年。文芸雑誌『海』への連載として発表された。

その他

第9回泉鏡花文学賞受賞。