2004-06-25
■ [ミステリー] 藤木稟 『朱雀十五シリーズ夢魔の棲まう処』 徳間ノベルズ
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★★☆☆☆
注意 この作品は盲目の名探偵 朱雀十五が活躍するシリーズの7冊目です。登場人物の背景や説明は改めてこの作品の中でなされていませんので、興味をもたれた方は、最初の『陀吉尼の紡ぐ糸』より読み始めることをお勧めします。
時代は戦前、軍部の力が強くなっていることが、日常生活にも影を落とし始めたころ、街には、行くあてのない子供たちが浮浪児となり、死ぬことを目的とする謎の宗教団体が台頭してくる、そんな中で起きる浮浪児を対象とした連続殺人事件が起こる、今回、盲目の名探偵 朱雀十五はあまり表舞台には登場せず、安楽椅子探偵よろしく、後半にしっかり謎だけ解く役にまわる。
なぜか読み進めていくと、今のこの時代と似通っている部分があるような気がしてくる、軍の問題、子供も問題、宗教の問題、これらの問題は時代を超えて、常に意識され続けてゆくのかと思うと少し怖い気がする。
2004-06-22
2004-06-08
■ [ミステリー] 鳥飼否宇 『中空』 角川文庫
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★★★★☆
非常に不思議な感じの話
鹿児島県は大隈半島の南端、ほとんど陸の孤島といってよい隔絶された場所にある、竹茂村、この村に住む7世帯12名の人たち、この閉鎖された環境と古くからの因習による生活と過去の忌まわしい事件、この設定で、第21回横溝正史ミステリ大賞受賞作と帯にかかれると、あの名作、『八墓村』を連想してしまうのだが、不思議なほど、どろどろした感じがしない、主人公である写真家 猫田夏海の素直さ、たとえば、宴席で女性が表にでてこないことに対する違和感などの記述や、探偵役である鳶山久志のぬけ具合、彼はこの陸の孤島に読みかけであるという理由で分厚い『重力の虹』上下巻をわざわざ持ち込んでいたりする、などの人物描写によるものかもしれない。今月の候補作筆頭。
2004-06-04
■ [ミステリー] 松尾由美 『バルーン・タウンの殺人』 創元推理文庫
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★★★☆☆
妊婦だけが暮らす町、なんとも長閑でなにごともおこりそうがない設定なのだが、探偵役は妊婦の暮林美央と現職の刑事、江田茉莉奈、表題作の「バルーン・タウンの殺人」では、目撃証言が、8ヶ月ぐらいの妊婦であってマタニティドレスを着ているという、まるで、役にたたないものだったり、「バルーン・タウンの密室」では、警視庁自慢の捜査支援コンピューターのニックネームがドウエル教授*1と密室事件でおなじみの建物の配置図つき、「亀腹同盟」はシャーロック・ホームズの各作品*2をネタにしながらそれでも独自の作品になっている、「なぜ、助産婦に頼まなかったのか?」は国際謀略もの、最後の「バルーン・タウンの裏窓」は創元推理文庫版のみ収録で、外伝的な作品
SF的ば部分を多分に持ちながらも、ミステリー(謎解き)の部分がしっかり構成されているのと、全編にわたり子供を生むということが、個人の問題でありながら、社会や政治と切り離すことができないという事実が描かれている、しかし、そのことが説教くさくなく、ミステリーとしての構成を邪魔していない感覚が好感がもてる。
2004-06-01
■ [ミステリー] 『探偵儀式Vol.1』 角川コミックAエース
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★★☆☆☆
コミックはやめとこうとおもっていたのだが、このメンバーなものでつい
あとがきにも書かれているとおりにこの作品のテーマは反則、舞台設定も登場する探偵らもみんなミステリーとしてのルールに反則、そもそも、これから発生する事件と犯人が書かれている本を読んでいるのはそもそも探偵ではないのではないか、という突っ込みはおいておいて、冒頭の1巻でJDC300名の探偵のうち97名が殺害されてしまうという設定を今後どのように片付けてゆくのかが楽しみ、大塚さんが手をいれているから、カーニバルのようなことにはならないと期待しているが、どうなることやら
2004-05-27
2004-05-26
■ [ミステリー][図書館] 紀田順一郎 『第三閲覧室』 創元推理文庫
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★★★☆☆(本好きならもう一つ)
本が好きというのは、当然本を読むことが好きであるというほかに本そのものが好きな人たちがいる、神田の古書店などには、1冊、数十万もする希購本が並べられている、この本の舞台もそんな、本に見せられた人たちの話である。私も結構本は購入して読むほうで、神田などの古本街にもかつてはよく足を運んだ、しかし本そのものは家の中で無造作に積んであるだけで、本としての愛着はさほどあるほうではない、でも、この話の中で語られる本を取り巻く人たちの本に対する思いはある部分共感できるものがある、やっぱり本という魔物に私も取り込まれた一人なのだろうか