2008-03-14「うん、また遊ぼうね」
■ 『おまけのこ』 畠中恵 新潮文庫


- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11/28
- メディア: 文庫
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★★★★☆
長崎屋の病弱若旦那一太郎の4冊目
- こわい
孤者異と書いて、こわい
お釈迦様でも受け止め切れなかったという妄念と執着のかたまり
常になにかをしてくれなったと嘆く孤者異になんか、いつかの自分がそこにいるようで
さしのべされた手に唾を吐くようなまねを今の自分はしていないだろうか
- 畳紙
やめなきゃと思いつつ、やめられないもの、大小はあるだろうけど、あるな
そんなことを始めるのもお仕舞にするのも、きっかけはほんの小さいことなんだろう
気がつくか、気がつかないか、きっとそんな感じなのだろう
屏風覗きいいやつだな
- 動く影
なんと、若旦那の大冒険
そして三春屋の栄吉との大切な思い出
幼馴染っていいなって思う
- ありんすこく
そういえば、若旦那ってもう十八なんだね
- おまけのこ
こちらは、鳴家の大冒険
ぎゅわぎゅわ
2008-03-10―ような気がした。
■ 『深泥丘奇談』 綾辻行人 メディアファクトリー幽ブックス


- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/02/27
- メディア: ハードカバー
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★★★★☆
体調不良から検査入院した深泥丘病院の一室から物語は始まる
周りの常識から自分一人だけが、取り残される恐怖、同じ時、同じ場所に居たはずなのに、今始めて聞いたようなこと、しかも自分の常識の範囲を超えることが平然と起きる
これは、恐い、特に、最近物忘れが出てきたなんてことになっていると余計に恐い
時系列の連作短編なのだか、後の話で前の話の決着がついたりは基本的にしない
話が進むにしたがって、自分の認識の自分を取り巻く周囲の溝がじんわりと深くなっていく
しかも、話の流れの中で、幻想の軸と現実的な解釈の軸が反転する話が間に挟まっていたりするのが、かえって、不安定さから恐さを際立てていると思う
余談ではあるが、虫歯の一生ものの治療があるなら、この治療法を試してみてもいいかもとちょっとだけ思ってしまった。
- 顔
- 丘の向こう
- 長びく雨
- 悪霊憑き
- サムザムシ
- 開けるな
- 六山の夜
- 深泥丘魔術団
- 声
2008-03-06「ただいま」
■ 『やっぱりおおきくなりません』 白倉由美 徳間デュアル文庫


- 作者: 白倉由美,鶴田謙二
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
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★★★☆☆
『おおきくなりません』*1の続編
大学に入学してからの麻巳美の話
いくつもの人間関係が描かれている
その関係はみんなちょっとだけいびつでアンパランス
その感じは前作と似ている
でも、今回はそのアンバランスな訳が見えている
年齢であったり、病気であったり、庇護されたという感謝と負い目だったり
そしてその、アンバランスを乗り越えようとする気持
アンバランスな関係から一歩踏み出すことで、おおきくなったのだろうか
その分だけ、前作にあった足元の不安定感は薄れている
実は、前作の着地点の見えない感覚も好きだったんだけどな
ひょっとすると麻巳美はフロル(11人いる)なのかもしれないとちょっと思った
2008-03-05そして、折り返し
■ 『阪急電車』 有川浩 幻冬舎


- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/01/01
- メディア: 単行本
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★★★★★
宝塚駅から西宮北口駅まで阪急電車は走ります
ずいぶんと短い路線ですけれど
乗り合わせた人たちの
ほんの些細なきっかけを乗せて電車は走ります
関西在住では無いので、この物語の路線イメージと実際のそれが
どのくらい違うのかわかりません
でも、それはそれで、よかったかも知れません
自分の中のこの短い路線をとことこ走る阪急電車を勝手にイメージできます
そして
西宮北口駅から宝塚駅へ阪急電車は折り返します
ほんの些細なきっかけをもらった人たちの
その後の景色をちょっとだけ覗きみるように
そして、折り返しでも、また新たなほんの些細なきっかけが
そんなふうに
多分今日も阪急電車は走るのでしょう
勝手なイメージの中で
白状すると、この手の構成の話は無条件で好きなんです
そして、行きと折り返しの間の時間の流れに
みんなそれぞれ物語があって
ある意味凄い贅沢なつくりの構成です
明日の朝また、押し合いへし合いの通勤電車に乗らなきゃいけないですけど
ささいなことを見つけるだけの心の余裕が自分には無いみたいです