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すまいりブックレビュー

「Smily Books Blog」(2014年からはこちら)

2012-03-11

[]進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス) 池谷 裕二(ブルーバックス)

1.動物と人間の脳

(1)イルカの脳自体は人間より大きいが、運動部位ばかり発達し、大脳は使いこなしていない

(2)人間は制約のある体(腕が2本、足が2本、目が2つなど)の中でしか脳を利用していないため、ポテンシャルを持て余している

2.脳機能の局在化

(1)聴覚野で音の低い方から高い方へと反応する場所が分かれて並んでいる

(2)視覚野に届いた情報は側頭葉でそれが「何」(例:ペンとニンジンの区別がつく)が理解し、頭頂葉で「どんな」状態(動き、色など)かを理解する

3.意識の定義(何をもって「意識がある」とするか)

(1)表現を自分から選択・判断ができること(刺激に対する反応・反射は、意識とはいえない)

(2)短期記憶できる(相手の言葉を記憶し、何を言ったか理解する)

(3)可塑性がある(過去の経験や学習を表現を選択・判断するための拠り所としている)

4.言葉と意識

(1)言語を使う事で意識を生み出した

(2)言葉を発するようにした咽頭が心を生み出した

(3)単純なYes/No(反応・反射)だけでなく、抽象的な思考も言葉で表現することができる

5.「見る」ということ

(1)世の中が3次元なのに2次元の網膜で入力されたものを脳が3次元に再解釈している

(2)3原色の波長しか感じられない網膜で限られた世界を見ている

(3)盲視(Blind Sight)

 ①視覚情報は視床に行く前に「上丘」でも感じる事ができる

 ②「上丘」で感じるスピードが速いため、ピッチャーの豪速球でも打ち返す事ができる

(4)盲点

 網膜の中で視神経が集まって出て行く場所だけはものを映す事ができない

6.感情と無意識

(1)感情は無意識であり、無意識である(意識でコントロールできない)

(2)感動は覚醒した感覚(クオリア)であり、無意識である(意識でコントロールできない)

(3)クオリアとは他の表現への置き換え不能なもの(甘酸っぱい感覚はそれ以外の感覚では表現できない)

(4)呼吸や表情は意識と無意識の中間

 表情のパターン(喜怒哀楽)は人の遺伝子に組み込まれているため、世界中どこでも共通性がある

(5)最も原始的な「恐怖」は扁桃体で生み出されるが、それ自体に感情はなく、大脳皮質に送られて初めて「こわい」というクオリアに変化する

 ①悲しいから涙が出るんじゃなく、涙が出るから悲しい(ジェームズ・ランゲ)

 ②感情は神経が活動した結果の副産物に過ぎない

7.記憶の正確性と曖昧性

(1)下等な動物(鳥など)は見たものをすぐにそのまま正確に覚えていられる

 そのままの状態しか覚えていないため、抽象化したり、汎化して応用する事ができない

(2)人間は記憶は曖昧で、判断の保留を行いながらゆっくりと記憶する

 ①いろんな情報から特徴を抽出し、共通点を見つけてから記憶する

 ②記憶されるまでに過去の情報との比較や判断の保留が入る(鵜呑みしない)

 ③曖昧に記憶されるからこそ、過去の記憶との思いもよらないつながりができる

8.脳の神経細胞は増殖、代謝しない

(1)頭蓋骨の中にあるため、脳細胞は増殖できない

(2)脳細胞が新陳代謝したら、自分自身が入れ替わってしまう事になる

(3)神経細胞自身は増殖せず、神経突起をつくって、他の細胞とネットワークを構築しているだけ

9.神経細胞

(1)神経細胞は脂肪とタンパク質で作られる絶縁体のため、イオンで電気を流し、情報伝達する

(2)世の中にある全ての細胞は、内側をマイナス、外側をプラスのイオンで電位差を作っている

(3)神経細胞内での情報伝達はナトリウムイオンの波の流れ(スパイク)で行う

(4)神経線維のネットワークは接触はしておらず、わずかな隙間(シナプス)がある

 神経伝達物質(電気でなく化学物質)を放出する事で、シナプスを乗り越え、隣の神経線維へ情報は伝達される

10.スパイクと神経伝達物質

(1)神経伝達物質はスパイクがきても放出される時と、放出されない時がある(情報伝達の曖昧性の原因)

(2)神経伝達物質の種類

 ①ナトリウムイオンベースのグルタミン酸は情報伝達を促進

 ②塩素イオンベースのGABAは伝達を情報抑制

 ③ドーパミン、セロトニン、アドレナリンなどは直接イオンは流さず、間接的に情報伝達に影響を与える

(3)情報伝達のしくみ

伝達賛成派の情報伝達物質の放出が多ければ、隣の神経細胞にもスパイクが発生する

(4)記憶のしくみ

 ①隣り合わせの神経細胞が同時にスパイクが発生するとシナプスの結びつきは強くなる(情報伝達されやすい)

 ②マクロで見るとスパイクはランダムでなく、発生する順番のパターンがあるため、それが覚えやすさ、覚えにくさと関係する

11.神経細胞のネットワーク

(1)神経細胞全体で1000億のうち、大脳皮質にある神経細胞が140億

 ①神経細胞1個が、シナプス1万作って、ネットワークしている

 ②シナプスの数は1000億×1万で、しかも1個ずつシナプスの個性(情報の伝達しやすさや伝達の方法)が異なる

(2)脳細胞のネットワークの多くは反回性回路(フィードバック)である

 ①1個の神経細胞は1万のシナプスで他の神経細胞とつながる(1万の神経細胞と互いにつながる)

 ②①でつながった神経細胞がそれぞれ1万のシナプスで他の神経細胞とつながる(全体で1万×1万=1億の神経細胞がつながる)

 ③②でつながった神経細胞がそれぞれ1万のシナプスで他の神経細胞とつながる(全体で1万×1万×1万=1兆の神経細胞がつながる)

  →ところが、大脳皮質の神経細胞の数は140億<1兆のため、③までのネットワークの広がりはないと言える

 ④海馬、前頭葉、視覚野が反回性が多い

 ⑤脳の99.99%はループ回路専用などの内部処理に専念している

  →インプット(視覚など)やアウトプット(話すなど)に関連している部分はごくわずか

(3)シナプス100ステップ程度の情報伝達で脳内の情報処理は完結している

 ①脳の情報処理はだいたい0.1秒程度で完結する(例:言葉を聞いて理解するまで)

 ②シナプスは1000分の1秒で情報伝達するため、シナプス×100で処理が完了しているはず

12.三体問題

 天体が2つ(太陽と地球)までの運動方程式は簡単だが、3つ(太陽と地球と月)になるととたんに方程式が解けなくなる

2012-03-04

[]「正義」を叫ぶ者こそ疑え 宮崎 学(ダイヤモンド社)

1.正義の正当化

(1)原則だったものが、絶対的普遍性があると多数派が唱えるときがある

(2)正義に反するもの(不正義)は、殺人で排除しても守られるべきものになってしまう

(3)道徳や正義の話が出たら、必ずそれで儲けるやつがいる

(4)マスコミ煽動による多数派が生まれる

 自分(の価値観)がないため、世間(マスコミ煽動)の価値観や他者との関係性でのみ自分を判断している

(5)少数派で訴えながら、抵抗する自らに酔いしれている

 多数派は全て悪という思い込みがあると、間違った少数派の正義が生まれる

(6)社会は全て割り切れると考えてしまう(自分と違う価値観を認めない考え方)

 社会は割り切れないものと考える方が、健全な考え方

 →例えば、環境問題を考える会議室でエアコンを使う事の矛盾を受け入れる事

2.村八分

 村八分にされても、二分(葬式と火事)の時の付き合いだけは残っていた

3.組織

 組織に属したら、どんなときにやめるかを考えておく事

4.政治家

(1)政治家とは利権屋である

(2)官僚と政治家の関係は警察とやくざの関係と同じ

  官僚(やくざ)が泥を被りたくない仕事を政治家(警察)にやらせる

5.宗教

(1)超能力や神秘性を権力に利用してはいけない

 権力欲を満たすためでなく、そうした欲から解放されるために目指すのが宗教の目的

(2)金の必要な組織で行わない事

 宗教に金も組織も必要ない

(3)ノンチャーチ

 教会や神父、牧師を介さず、聖書のみを通じて神と対話するという立場

6.民族と国家

(1)国家や民族の間の紛争は人権でなく利権で争っているだけ

(2)軍隊が国を守ると思わない事

 ①軍隊が何よりもまず軍隊自身(組織)を守ろうとする

 ②戦争で負ける時、軍隊は民衆を置き去りにする

7.「正義」とのつきあい方

(1)「正義」は存在しない(ないものを信じるな)

 ①人は正義を求めたがる存在であることは否定しないが、現実には存在しない

 ②人間の生活はグレーゾーンであり、白か黒かの正義は存在しない

(2)「よりマシ」なものを選択せよ

 ①よりマシな方策をその都度選択して生きること

 ②その都度選択した方策が最良だと思わず、常に疑い続ける事

(3)現実から物事を考える

 正義などの抽象的な観念でなく現実から物事は考える事

(4)「正義屋」に気をつけろ

 正義をふりかざし、商売する政治家、メディア、宗教家が売りつける商品は買わない事

(5)空気に流されない

 ナチ、尊王攘夷、同時多発テロのアメリカといった正義の空気に流されない事

(6)多様性を保障する社会を

 民主主義であっても「空気」で一つの価値観が支配してはいけない

(7)組織は「道具」と認識する

 国家や会社といった組織は道具として使うものであり、組織に忠誠を尽くす奴隷となってはいけない

(8)正義より義侠心を

 見下す姿勢がある正義より、同等の立場で困っている人の力になろうという義侠心を