Hatena::Groupbook

すまいりブックレビュー

「Smily Books Blog」(2014年からはこちら)

2012-02-19

[]東日本大震災・政変・スキャンダルをいかに乗り越えるか 「危機管理・記者会見」のノウハウ (文春文庫) 佐々淳行(文春文庫)

1.東日本大震災での「超法規的措置」

(1)震災地域で、送検済み被疑者の釈放(福島:31人、宮城:27人)

 釈放した一人がコンビニに窃盗逮捕

 →安易な容疑者放免は法秩序の破壊につながる

(2)汚染水流出を止めるのにおが屑と新聞紙

 通常工事現場などで用いる「水中コンクリート」(瞬間凝固剤)を使うのが常識

2.雄弁と沈黙

(1)沈黙は金の誤解

 相手を正しく理解するために必要なのが沈黙

(2)間違った沈黙

 ①わからなくて何も言えないだけ

 ②発言すべき時に沈黙する

 ③保身のために口を開かない

 ④優柔不断で発言できない

(3)雄弁の効用

 相手に意思を表明することで初めて相手への効果が測定できる

(4)雄弁はアクティブソナーで沈黙はパッシブソナー

 ソナーはアクティブ(音波を発信して敵艦探知)とパッシブ(無音潜航して敵艦の音を探知)の使い分けが必要

3. コンプライアンスの意味

(1) 相手のいい分に対しどのように応諾するかの落とし所のこと

(2)法令遵守はコンプライアンスの一番消極的な意味

 法令さえ守っていれば、いつも完全に組織防衛できるとは限らない

4.コンプライアンス・オフィサー(広報担当者)の資質

 言っていい事は明るく即答し、言ってはいけない事(ネガティブリスト)を事前に洗い出し確認しておき、決して公言しない

5.ネバーセイネバー

 記者会見などの答弁で「決して」という言葉は絶対使ってはいけない

6.ネガティブリスト

 何を言ってはいけないかを書き出したリストであり、べからず集となる

7.ソフィスト的詭弁術

(1)論点変更の誤謬(ムタティス・エレンチ)

 ①相手の主張(土俵)には上がらず、自分に有利な土俵に引きずり込む

 ②一般論には各論、各論には一般論で返す

(2)突き放し論法

 ①相手の土俵には上がらず、立場が違うと意見を突き放してしまう

  →他者からのご意見はこれ以上は無用と相手の意見を突き放す

 ②揚げ足や言葉尻をとられない論法

  →「あなたの意見は理解しました」と意見を突き放して回答を終える

 ③自分の立場を必要以上に説明しない

  →相手への100%の説明は無理

(3)相手の両刀論法(セオリー・オブ・トゥ・ホーンズ)を見破る

 子供を返して欲しくなかったら「返して欲しくない」と言え

 →「返して欲しい」「返して欲しくない」のどちらを返答してもダメとなるずるい論法

(4)不当仮定の虚偽(ヒーステロン・プロテロンに負けない

 ①自分に不利な前提を議論の最初に押し付けられないこと

 →ロシアは「日本とロシアに領土問題はない」といった都合の良い前提から論議を始めようとする

 ②相手から仮定(例:「もしここがアメリカなら」)となる質問には回答しない事

(5)不可知の論証(アルグメントゥム・アド・イグノランティアム)

 ①「みんながそう言っている」「世間の評判が悪い」

  →曖昧な集合名詞が主語の意見は、具体的に誰の意見なのか確かめる事

 ②「専門家が言っています」「常識的にこうです」

  →知識の共有ができなければ議論できないと、自分が理解できるように説明してもらう

(6)尊敬の誤謬(アルグメントゥム・アド・エレクンディアム)

 「社長の意見です」「本に書いてあります」

  →議論に無関係な意見であれば「So what?」と返し、相手の詭弁を断ち切る事

(7)循環論証(シルクルス・イン・プロバンド)

 不当仮定がいくつか組み合わさり、論証できない話が循環するのに惑わされない

(8)禁反言の原則(エストッペル)

 前言撤回、一度約束した事を翻してはいけない

(9)熱いジャガイモ論(セオリー・オブ・ホット・ポテイトゥズ)

 熱い茹でたてのジャガイモを渡されたら、すぐ相手に投げ返す事

 →「あなたならどうしますか?」「他の方法があれば教えてください」と投げ返す事