- AAA:最高評価
- AA:傑作(特に面白いものはAA+、今ひとつのものはAA-)
- A:佳作(特に面白いものはA+、今ひとつのものはA-)
- BBB:水準作(特に面白いものはBBB+、今ひとつのものはBBB-)
- BB:凡作(すぐれた箇所のあるものはBB+、劣ったものはBB-)
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- C:産業廃棄物 ダイアリ
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2005-08-17ミステリっぽいなにか
■ [バイオSF]DZ

エピソードをもっと整理しましょう。なんだか陳腐なエピソードばかり、いっぱいつまっている。「孤独」をエピソードで語らないで、理屈で語ってるんだよね。これこれこうだから、この人は孤独な筈です、みたいな。そんなこと言われたって、そもそもお話しなんだし、「ああ、そう。そうかもね。それで?」でおわっちゃうじゃない。そのかわり些細なエピソードがやたらと細かく書込まれてたりして、登場人物それぞれに対する書き込みのウェイトに、ものすごい違和感がある。半分くらい読まないと誰が主人公かもわからないというのは、やりすぎではないか。読者をこわがらせたいんだか、泣かせたいんだか、なんかよくわかんない感じで、どうも印象が薄い。なんか、エピソードってものを「大作っぽく見せるために詰めこむもの」と思ってないか?
同じ章の中で、一続きのシーンを突然視点を変えて描写したり、律義に事件の時系列にそってエピソードを羅列してるかと思うと、なんの説明もなく一行開けただけで何年もとんでたり、なんかこう書きやすいとこだけいっぱい書いて、書きにくいとこは避けてるような感じがしました。そういえばパラサイト・イブもそうだったけど、実験器具が登場するとそのときばかり嬉々として延々と描写が続くのね。悪いクセだと思うな。
横溝正史賞受賞だけど、ミステリにしないで、素直にSFにしとけばよかったのに。一応、謎があって、最後に意外な真相もあるんだけど、陳腐なエピソードに埋もれちゃって謎が物語をひっぱってくカギになってないのね。なんか感情のつじつまもあってないみたいだし。どんなに変わり果てた姿でも、母と子は一目でわかりあえるみたいな母子モノパターンの遺伝子版じゃん。吉田秋生の「YASHA」の方が全然面白い。 あと、読んでて男性作者が頭で考えた女性心理みたいな感じがしてたんだけど、もしかしてこの作者って女性?
■ [フック小説]パーフェクトプラン
お勧め度:C

流行のガジェットを手当たり次第かき集めて、とりあえずてにをはでつなげてみました、みたいな。アフィリエイトオンリーの日記がキーワードを羅列してるようなもので、説得力なんてあったもんじゃない。こんなんが「このミス」大賞なのか。読み進むのに多大な努力を要求されます。
たまたま良江が連れだしてきた子供の父親が大損こいてる投資顧問の社長で、たまたま赤星が有望なベンチャー企業のインサイダー情報知ってて、とか偶然が多過ぎる。警官が警官らしくないとか、人間が書けてないとか、そういう次元以前の問題として登場人物がいちいちそんな奴いねえよの連続だし。そもそも主人公って誰なんだ?幸司と良江の話なのか馨とヨシュアの話なのか作者も未整理のままだから、話の軸も定まらないしただただ展開のご都合主義にイライラするばかり。
コンピュータやネット関連の付け焼き刃を思わせる描写も鼻白むけれど、ネット上で噂を流せばカンタンに相場操縦できるかのような描写は問題だと思うなあ。しかも本文中で株価操縦が犯罪ではないような表現になってるし。