- AAA:最高評価
- AA:傑作(特に面白いものはAA+、今ひとつのものはAA-)
- A:佳作(特に面白いものはA+、今ひとつのものはA-)
- BBB:水準作(特に面白いものはBBB+、今ひとつのものはBBB-)
- BB:凡作(すぐれた箇所のあるものはBB+、劣ったものはBB-)
- B:駄作
- C:産業廃棄物 ダイアリ
- 作者: 篠田節子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/06
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- 作者: 篠田節子
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- 作者: 篠田節子
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- 作者: 篠田節子
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- 作者: 福井晴敏
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- 作者: ピーター・ストラウブ,若島正
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- 作者: 野尻抱介
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- 作者: 野尻抱介
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- 著:野尻抱介
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- 作者: 野尻抱介,草なぎ琢仁
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- 作者: 岩本隆雄,鈴木雅久
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- 作者: 山本弘,後藤圭二
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2010-02-10律儀な描写
■ [感染小説]夏の災厄
お勧め度:AA-
地道なパニック小説。類型に逃げない細かい描写を堅実に積み上げていく作者のスタイルがうまくはまって、派手な見せ場はない分迫真性あふれるバイオハザードものになっている。舞台がずっと一地方都市に留まってコミュニティの崩壊を描いていくあたり篠田版「呪われた町」という感じもする。キャラクターに善玉悪玉の色づけがなく、クライマックスの盛り上がりや解決も曖昧な分リアルではあるけれど、カタルシスは得にくい。目に見えないウィルスの脅威を、蚊や闇に光る貝の描写を使って訴えている手法が効果的。今読むと最近の鳥インフルエンザを巡る騒動がそこかしこでだぶってきて怖さも倍増。
■ [伝聞小説]第4の神話
お勧め度:A+
評判というか関係者の証言をたどって死者の実像に迫るというと有吉佐和子「悪女について」とかあるけれど、こっちはさしずめ「女神について」かな。小説の構成にはムダがなく、特に中盤あたりは、主人公のライターと一緒になって、謎に引っ張られてぐいぐい読まされてしまう。篠田節子は働く女性の小説書かせると、活き活きしててホント面白いわ。
■ [怪獣小説]絹の変容
お勧め度:AA-
面白い。ストーリーは単線で枝葉もなく一気だし、ビジュアルのインパクト大きいし、映画にしないのかなあ。篠田節子のデビュー作ですね。最初、タイトルの印象から、なんか有吉佐和子みたいな話かと思ってたんだけど、ゼンゼン違った。「絹は虫の唾液だ」という言い切りが全てをあらわしてるような小説。クローニングしようが、獲得形質は遺伝しねえだろとか、いくつかツッコミたくなるとこもあるし、なんかキャラが弱いかなとか、いろいろ言おうと思えば言えるけど、でも面白いよ、これ。大騒ぎしたわりには、ローカルニュースのトップくらいのスケールで終わっちゃうんだけど、やっぱパニックものって悪役がバカなことして騒ぎを大きくしないと、なかなかスケールアップしてかないんだなあと思った。でも、敢えてバカなことさせて話を大きくするより、さっさと収束させちゃう方が絶対スマートだ。
■ [生真面目小説]コンタクトゾーン
お勧め度:A-
篠田節子って、絶妙のコメディになりそうな設定をもってきても、どシリアスになってしまうとこがある。「斉藤さんちの核弾頭」なんて、横山えいじのカバーイラストで、こりゃハチャハチャSFだとてっきり思うじゃないですか。この「コンタクトゾーン」も、国情不穏な南国リゾートに、「為替が暴落してるからブランド品買い放題」つって来るOL三人組が内乱に巻き込まれてジャングルの中を逃げ回る話、とか聞いてもっとスラプスティックな展開を期待したんですよね。内乱も、海賊くずれや時代錯誤のマオイスト、土着化したイスラム民族派にバルチスタンから来たイスラム過激派、近代と前近代を使い分け、ゲリラ同士を両天秤にかける部族社会の村々と複雑な様相を呈し、矢作俊彦とかならかなり皮肉な感じに描きそうですが、篠田節子はなんか真っ正直に描いてしまう。設定で一番大風呂敷を広げて、あとは地味というか稠密な描写を一つ一つ繋げていく。目の前の状況の説明だけだと大状況が全然わからないんで、多少読者サービスみたいな説明もあるけれど、こういうのはご都合主義ではなくて親切というものでしょう。パターンに落とさずに丁寧に書けば、これだけ分厚くなるのも納得ですが、さすがに中盤はちょっとダレ気味。
2010-02-06重厚長大
■ [冒険小説]亡国のイージス
お勧め度:AA-
序章が長い。なんかキャラの掘り下げがうっとおしかったです。っていうか、艦長のキャラを掘り下げれば掘り下げるほど、説得力が薄くなるような気がしました。キャラの掘り下げとアクションの両立という点では五條瑛「プラチナ・ビーズ」の方が好きかなあ。プラチナは終わり方が不満だったけど。
さて、本書はいくつか仕掛けもあったりして、中盤に物語が加速しだしてからは一気に読み進めます。文庫版上巻最後のセリフとか、カッコいいし。で、絶体絶命のピンチを迎えて、ここがクライマックスかと思っても、まだまだページがいっぱい残ってて、ちょっと疲れました。不満多いけど、うまいリズムでハラハラを引っ張ってトコトン盛り上げてくとことか充分楽しめるんでダブルA。
2010-02-05幽霊小説
■ [閉鎖空間ホラー]ゴースト・ストーリー
お勧め度:AA
ゴースト・ストーリー (上) (ハヤカワ文庫 NV (737))
悪魔の誘惑の話ですね。小さな田舎町の崩壊というと、どうしてもキングのいくつかの作品の印象から逃れられない。なんか章立てとか名前のセンスとかも、キングっぽいなあ。小野不由美「屍鬼」は舞台を日本の田舎にもってきて徹底的にローカライズしてくれたからこそ味わえる雰囲気というものがあった。アメリカの田舎暮しのリアリティって、そもそもわたしにとっては小説の中で知ってるにすぎないもんだからねえ。でもそのへんの距離感があって、よくできたお話ですんでるようなとこがある。身近な舞台でこういう話をされると、かなりヤだな。いがらしみきおの「Sink」とか、居ても立ってもいられなくなるような無気味さがあるから。そういうえば、夜中に遠くどっかから流れてくるディキシーランドとかが怖いとこなんだけど、そこ読んで「ツィゴイネルワイゼン」の祭り囃子を思い出した。日本ではそうゆうのは狸囃子と言う。
2010-02-02SF小説
■ [遭遇SF]太陽の簒奪者
お勧め度:AA+
「沈黙のフライバイ」「ふわふわの泉」とつながるファーストコンタクトテーマ。ファーストコンタクトといってもいろいろなんだけど、異質な知性との間でコミュニケーションは可能か、とかそもそも異質な知性って具体的にどうゆうんだ、というポイントがあって、異質な知性が単なる異文化にすぎなかったり、はたまたソラリスとかみたく異質すぎて最後までわかんなかったりとか、まあ直接は表現できない。間接表現だと、山田正紀「神狩り」で言語構造がスゴイ!とかあったなあ。で、野尻抱介の場合、「沈黙」は文字どおり沈黙だったのに比べると(沈黙とかいうと遠藤周作思い出すな。考えるとけっこう似てるかもしらん)「ふわふわ」と「簒奪」はもうちょっと愛想がある。コンタクトの相手は人類とは異質な知性体で、人類とのコミニュケーションも本来成立しないんだけど、アクシデントで成立するという仕掛け。相手が語りだすと、その分畏怖の効果は薄まってしまうかわり、思考実験的に異質さをいろいろと構築できる楽しみがある。異質性の表現としては、「ふわふわ」も「簒奪」も主体と他者の区別がない意識という設定で、おお、人類補完計画かとか思った。また、「簒奪」では異質さの表現の小道具として、もひとつ、AIも使われてる。この辺りは「BRAIN VALLEY」を思い出す。あっちの人工知能も盛り上がったけど、散々仕掛けに凝った挙げ句のクライマックスで失速しちゃってたからなあ。「簒奪」の方には、見せ場としては人類初の宇宙戦闘シーンがあります。一応現有技術にはない新兵器も出るとはいえ、基本は誘導核ミサイルですから。ウルトラマンなしで怪獣と戦っていたウルトラQみたいだ。全体に地球近傍を舞台にして現在利用可能な技術をもとにしたリアリティが力強い骨格になってる。現在から地続きの感じがするんだよね。2004年に高校2年生だった主人公の物語は、2002年現在中学3年生の人たちにとっての可能性の一つなんだよなあとか思ったりもする。最新作としてSFマガジン誌上に発表された「複素数の呼び声」もファーストコンタクトものだけど、こっちはちょっと趣が違って、アイデアストーリーですね。いろんなアイデアというかガジェットが詰め込まれてて楽しいんだけれど、ファーストコンタクトの方は、異質な知性というよりはオチのある落し話です。ネタバレしちゃうとつまんないんで、読んでみてと言う感じだなあ。
■ [遭遇SF]沈黙のフライバイ
お勧め度:AAA
27ページ、215kバイトのファーストコンタクト・テーマの短編。著者が小説の最後に付記しているが、本作は野田篤司氏の恒星間探査機に関わる私的研究から生まれたアイデアに基づいている。正直にいって、ここに書きこまれた設定の科学考証は私の手に余る。ただ、作品の中で事実に基づく推論と、実証の手段がない想像とをより分ける手つきが、なにより科学的であるということは言えるだろう。観測結果から導き出される結論から想像を逞しくすることに禁欲的に振る舞い、ドラマティックな感動を盛り上げるのではなく、人間の灯した科学という小さな光を描くことで廻りに広がる闇の深さを示すかのような詩情あふれる余韻を残している。
■ [博物SF]「ピニェルの振り子」銀河博物誌1
お勧め度:AA+
19世紀の博物学者が超光速ロケットで探検する、その設定だけでもう勝ちは決まったようなもの。恒星間ロケットはあってもカメラはない、軌道計算は計算尺、という世界です。作品はSFの1つのアイデアを大本に据えて、しっかりした構成で読ませます。筋を追っかけていくだけで、不思議な世界の見所を一通り堪能できる仕掛けになってます。
ヒロインは綾波レイとミスタースポックの娘といったところ。価値判断の基準が非常に明確で迷いがない。無愛想だし、人前で着替えをする。せっかくなら挿し絵は山田章博がよかったなあ。
「アホガキとウケネライのアヤナミ」という批判が多い、という話を聞いたのでちょっと加筆。
アホガキ、というのはきっと前半、主人公のスタンが船に乗り込むまでの猪突猛進を指しているんだろう。だが、そのアホガキの向こう見ずを救うために物語が半歩でも譲歩しているか?無用な障害を作って展開を遅らせているか?全くない。つまり物語の必然性に則ってるってこと。これが大事。ヒロインのモニカから綾波を連想するのは、まあ今だったらしょうがないけど、でも同じじゃないでしょ。内ハネじゃないし(笑)究極の観察者としての画工を少女キャラにして、対照的な行動派の少年と組ませる、というとこがこのシリーズのミソなんだから。そもそも最も互いの魅力を引き出すように正反対の性格のキャラを組ませるってのはキャラ立ての基本というか、それこそ「ベストセラーの書き方」なんかにも必ず載ってそうなセオリーだけど、それが奏功してるからこそ、こんなに面白い小説になってるわけじゃん。沈着冷静なばかりのモニカに体当たりでぶつかって活力を与えるスタンという構図は、ピニュルの振り子そのものとも重なって互いに呼応して物語の大きな構造を支え合ってるわけで、この小説の骨格そのものでしょう。細かい伏線の処理から、キャラの配置に合わせた物語の構造まで、こんな見事に仕上がってる小説なんて、そうそうないよ。そこまでわかった上で、「アホガキとアヤナミのカラミ」の小説って言ってんならともかく、そうじゃない気がしたもんで。
キャラの配置で言うと、博物商を金もうけの好きな俗っぽい人物にするとまた違った話になるけれど、それじゃ野尻抱介の小説じゃなくなるだろうなあ。スポンサーでもある蒐集家も超俗的な変人が金と身分で趣味を通してる感じだし(こう書くとなんかヤな奴っぽいけどそんなことないです)世俗的な俗事の処理を誰が担当するんだろうかなあ、と次作以降の展開をちょっと気にしてます。謎を解き明かし、一つの解答を出したとしても、それを現実に実行するためには世俗的な手続きが必要になって、そこまで書かないと小説として終わんないから。もちろん本作のパターンは充分アリなんだけれど、できれば毎回違うワザが見たいなあ、と期待してます。
2010-02-01スウィーツSF
■ [正義小説]星虫
お勧め度:BBB+
ヒーローとヒロインが出会ったとき、第一印象で反発するとラブコメ、一目ぼれすると純愛ものなんだそうだ。その分類をあてはめると、これはラブコメになる。それも、少女マンガのラブコメのオーソドックスなパターンに則った展開になってます。ジャンルはSFで、エコロジー入ってます。ただ、よくある反近代とかじゃなくって科学技術に肯定的です。「夢は叶えるためにある」というポジティブなわかりやすいメッセージがあって、楽観的なハッピーエンドになってます。基本的に悪人が出てこない性善説なのはいいんだけれど、悪役を顔の見えない政府とか役人とかにおしつけちゃって残りはみんないい人っていうのは、卑怯だと思う。
■ [と学会SF]時の果てのフェブラリー
お勧め度:BBB+
時間重力異常地帯の描写はすごい。悪役が、ひとの無知につけこむオカルティストってのも、「と学会」会長らしいというか。でも、なんか出てくる人がみんな結局いい人で、最後は愛が地球を救う話だからねえ。科学に厳しく小説に甘い、という感じでしょうか。「スポット」の謎が解明されると、ストーリーを引っ張ってくベクトルが失速しちゃう感じで、どうも盛り上がらない。異星人とのコミュニケーションのとこが構成上は山場なんだろうけど、常人には理解できないという設定なんでよくわからないままだし。山津波のサスペンスもあるんだけど、本筋と絡まない付けたりになっちゃってるし。自分と同種の存在を知らない孤独にして全知全能の超生命体がいかにして「他者」を認識するのか、というようなことを考え出せばまた別の展開もあったと思うんだけれども。せめて萌えられればねえ。