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2010-10-20

イギリスとアイルランドの昔話

15:08 | イギリスとアイルランドの昔話 - 文庫野ばら を含むブックマーク はてなブックマーク - イギリスとアイルランドの昔話 - 文庫野ばら イギリスとアイルランドの昔話 - 文庫野ばら のブックマークコメント

イギリスアイルランドの昔話

石井桃子 編、訳

J.D.バトン 画

我が家では抜群に人気のある本の一冊だ。よく知られている「ジャックと豆の木」もあるが、多くはあまり知られていない話が多い。「ちいちゃい、ちいちゃい」「ヘドレイのべこコ」「ミアッカどん」等30ほどの昔話が納められている。イギリスならではのナンセンスが十分満喫でき、しかも、石井桃子の訳がすばらしい。

子供たちが小さい頃、八時になると「一番好きな本を一冊とっていらっしゃい。」といって、それぞれが選んだ本を布団の中で読んで楽しんだ。夜は物語の力がもっともよく発揮される時間だ。

同じ物語を聞いても、娘たちの頭の中には、それぞれに物語の主人公や情景が存在するに違いない。自分だけのハイジが、モモが、オツベルが存在する。オツベルが食べた「雑巾ほどもあるオムレツ」も上の娘の頭の中にあるものと、下の娘の想像したそれとは異なる。二人がそれぞれに自分だけの「西根山の山男」と知り合いだ。

こんな風に、一つの物語を個人のものとすることができることは、幸せなことに違いないし、もともと物語はごくごく個人的なものではないだろうか。昔話もこんな風にして、世代を経るごとに、あるいは語られる地域ごとに、変化してきたのではないか。この不安定さ、脆弱さが、物語の世界の魅力の一つを成していると思う。どう変わってゆくか分からないという危うさを感じながら、しかし、不変かつ普遍性のある形式にはあえてしない。そんな姿勢を、物語に対して持ち続けてほしいとメディアに対して願う。

最近、赤ずきんちゃんがオオカミと仲良くなったり、桃太郎鬼ヶ島の鬼を退治するのをやめて和解の道を選んだということを聞くが、本当だろうか。本当だとしたら、これはどういうことなのか、どんな背景があるのか、興味のあるところだ。グリムの昔話も採取された頃は、今伝えられているものより、よほどドラマチックだったらしい。