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2004-05-30穂村弘『もうおうちへかえりましょう』

穂村弘『もうおうちへかえ

[][][][][][][][]穂村弘『もうおうちへかえりましょう』 はてなブックマーク - 穂村弘『もうおうちへかえりましょう』 - BookSynapse

ISBN:4093875081

内容

『世界音痴』ISBN:4093873739に続く歌人、穂村弘のエッセイ集。2002年から2004年前半までの諸雑誌掲載原稿を編集したもの。日常エッセイから懐古、読書エッセイを中心に、短歌鑑賞、恋愛論、不条理ショートショートを数編含む。

感想

I、II、IIIの三部構成で、Iは相変わらずの世界音痴ぶりがこれでもか、と披瀝され、事実上の続『世界音痴』になっている。IIは趣を変えて、いくら青春ゾンビといえど、人並みにおじさん的な感覚の芽生えもある、そのフィルタを通した現代批評的な要素を含んだ、脱「青春ゾンビ」的なもの。そしてIIIが、本の雑誌で連載されていた本に関するエッセイで、読後その書痴っぷりが強く印象づけられて、全体としては穂村弘という人の幅の広さ、多面性が印象に残る。

『もうおうちへかえりましょう』という誘ってるんだか気弱なんだか、何が言いたいのかいまいちよくわからないタイトルは、たぶんIIにつけたものなんだろう。この気弱かつ尊大な、ダメ人間のふりをするけどじつはもてまくるとんでもない男(ほめ言葉)が発するメッセージは、次第に地に足をつけつつある。ダメエッセイと比べるとその部分はいわゆる「よくある話」になっていないこともないけれど、誰もが感じていることを「楽しめる」文章にする芸を堪能できる、それだけでいいという気がしてくる。

外観

小林キユウ撮影のカプセルホテルでの写真。あいかわらずイメージ通りのいい写真で。ジャージとジーンズが似合う黒縁伊達めがねの40男。

帯の、

白馬に乗ったお姫様はまだ?

っていう文章は確かに文中にあったけど、白馬に乗ったお姫様なんか来ないことは、十分悟った上で、むしろそれを楽しんでいる(断じて楽しんでいない、ということならその副産物を利用している)ので、ちょっと看板に偽りありかも。

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続『世界音痴』として薦めるのはちょっと心が痛まないこともない。IIIの部分については、穂村版『吉野朔実劇場』として扱ってもいいような気がする。

反応

周囲はみんな楽しみにしてましたとも。ちなみに2004.5.30現在、アマゾンの『世界音痴』はまだちゃんと「た行の著者」に分類されている*1。修正される日はくるのだろうか。

関連

  • 吉野朔実劇場』ISBN:493846358XISBN:4938463873ISBN:4860110129…時々穂村弘が出演するのであわせて読むと状況が立体的になっておもしろい。(「恐怖的瞬間」)
  • 『子のつく女の子は頭がいい』ISBN:4896915828…子どもの名前というのは如実に価値観を反映する。世の中の急激な変化による世代の乖離は誰もが感じていることだとしても、その行く先を誰も知らない。(「「怜央」と「幸子」と「う」」)
  • 「リンダ リンダ」歌詞…初めて聴いたのは高校の文化祭で、90年代においてはすでに「定番」を通り過ぎて「古典」的位置づけらしかった。80年代論はなんかいい本がありそうだけど思いつかない。(「八〇年代最大の衝撃」)
  • 小倉千加子『結婚の条件』ISBN:402257884X酒井順子負け犬の遠吠えISBN:4062121182…「お互いに高めあう恋愛」の呪縛のくだりは、男の側からの「負け犬」論とも読めないことはない。ついでに山田昌弘『パラサイト・シングルの時代』ISBN:4480058184も。この人はパラサイト・シングルでもあったりする。(「愛の暮らし」「わかりあえるか」)
  • たぶん世にダメエッセイはたくさんあるんだけどオーケン原田宗典あたりしか思いつかない。ネット上には同類のWeb日記もたくさんあるけど、芸のうまさでは全然敵ではない。何たって年期の入り方が違う。

*1:「アシホたち」に詳述

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