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2004-05-08渋井哲也『出会い系サイトと若者たち』

渋井哲也『出会い系サイト

[][][][]渋井哲也『出会い系サイトと若者たち』 はてなブックマーク - 渋井哲也『出会い系サイトと若者たち』 - BookSynapse

ISBN:4896917510

こういう本は分類に困る。が、分類に困る本ほど新しくて情報源としては重要だったりする。

内容

  • 序章 若者を引き寄せる「出会い系サイト」
  • 第1章「出会い系サイト」とは何か?
    • 変遷、種類、利用者層、コミュニケーション形態の社会学的分析
  • 第2章「出会い系サイト」を利用する若者たち
    • 実際の利用者たちへの取材結果
  • 第3章「出会い系サイト」関連事件簿
  • 第4章「出会い系サイト」規制のなにが問題か?
    • 新法制定の経緯と問題点
  • 最終章「出会い系サイト」のゆくえ

感想

第1章は「出会い系」を知らない人が、議論の前提となる歴史や仕組みを知るための章と思って、お勉強のつもりで読んでいくと、

(個人のHPも)出会いそれ自体が目的ではないにせよ、匿名の他者に出会うことを結果的に保障してしまっている。

なんていう他人事でない文章が出てくるのでびっくりする。「●パーソナルメディアとしての「出会い系サイト」(35p)」以降は社会心理学を交えた堅い話になっていて、実際にメールやチャットをやったことのない人にこのニュアンスが分かるのだろうかという気もする。

第2章はうってかわって利用者たちの赤裸々な体験談。商売として割り切る女性、メンタル・家庭面での問題を抱えた典型的なのめり込み型の女性、自衛のためにメルマガを発行する女性、満たされていても刺激を求めて利用を繰り返し、HPで成果を誇る男性…しかし多数派で「選ばれる」立場であるはずの男性も、かなり「選べる」立場の利用者しか取材してないのはどうなんだろうか。

第3章も「出会い系」がらみの犯罪の増加についての統計上の考察のあとは、実際あった事件の経緯、被害者加害者の事情などを解説。2、3章だけどうもどぎつい印象だと思ったら、巻末によると初出は雑誌の特集記事だそうで。事実と憶測が入り交じっているあたり、ちょっとうさんくさい印象は否めない。

そして第4章。多分ここが著者としても、今の社会状況としても最も問題にしたいところだと思われる。最大の論点は「未成年の出会い系サイトへの書き込みを処罰の対象とするか否か」で、この秋から援助交際する未成年も罰せられるという話は聞いていたものの、「書き込み(条文では誘引)」も処罰の対象になるというのは初耳だった。「出会い系サイト」を取り締まる側が定義することの問題と、守られるべき子どもまでが「処罰の対象になりうる」ところが問題だと指摘している。最終的にはリテラシーの問題であるというところは大いに共感。

全体的に書き下ろしで硬めの1、4章と、実態を報告した2、3章の方向性が違っているので、少し戸惑う。

外観

ごく普通の新書。

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果たして新法が適切か否か、どう運用されるか、というところが最大のポイントか。対象がいまいちつかめないが、1、4章を見るにおそらく中高年の知識人向け。丸ごと「出会い系」を扱った新書として(おそらく丸ごと一冊「出会い系」のおかたい本というのはこれが初めてなのでは)手頃なので、統計面や歴史的経緯、新法の把握に便利。

関連

  • ももち麗子『であい1』ISBN:4063652297…漫画。この本では分かりにくい細かいニュアンスが描き込まれていて、ものすごくわかりやすい。子どもも大人も読める間口の広さがポイント。同じ作者の問題提起作品集シリーズ初の続き物、ゆえに今後が心配でもある。
  • インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(Mainichi INTERACTIVE)…条文
  • 高知県警察のHP…どんな行為がどう罰せられるのかわかりやすく書いてある。でも子どもに「誘引」って言っても分からないだろう。
  • Y!ニュース - 出会い系サイト問題
  • お元気でクリニック…著者渋井哲也氏のHP。どうやってこの本が書かれたかが伺える。ネットのことはネットで情報収集、というのは手法としてわかりやすい。最近のライターはこうやって双方向メディアをうまく利用している人が多い気がする。
  • 糸井重里『インターネット的』ISBN:4569616143…ネット=怖いという安直な先入観を与えないために、その明るい可能性もセットで是非。つまり道具は道具に過ぎず、使う人次第という当然のことを知るために。ただ最後の方はちょっと曖昧なので、その辺が整理されたものが出てほしい。
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