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2005-06-30

目次

  • [best]今月の三冊200506 4/21冊
    • 中村元『水族館の通になる』ISBN:4396110103
    • 貴戸理恵/常野雄次郎『不登校、選んだわけじゃないんだせ!』ISBN:4652078072
    • グレッグ・クライツァー『デブの帝国』ISBN:490178420X
    • 三好春樹『元気が出る介護術』ISBN:4007000107
    • 次点

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ブックマークのコレクション機能を使い始めてから1行感想の窮屈さを実感してるのでつい長くなるなぁ…(7/22更新)

中村元水族館の通になる』ISBN:4396110103

水族館の舞台裏について、知りたいことが過不足なく書かれていて、とてもいい本。今までひたすら見た目を求めて水族館に通い詰めてきた私の目からウロコがぼろぼろ落ちた。

東海大学付属水族館にあったリュウグウノツカイは国内唯一*1とか、鳥羽水族館のイロワケイルカアメリカに横取りされないように大変な努力をして手に入れたもの*2だとか、ウミヘビは地上でも生活できる!とか、はじめて知ったことも多い。廉価な新書一冊でこの情報量はかなりお得。

飼育係としての自負とストイックさと、サービス業としての謙虚さ、客の立場に立った語り口、上品で親しみやすいユーモアが溶けあった得難い語り口。すばらしい。

貴戸理恵/常野雄次郎『不登校、選んだわけじゃないんだせ!』ISBN:4652078072

よみながら何とも言えずにもやもやしたのは、かつて自分が我慢に我慢を重ねて学校に適応して何とか通いきったという思いがあるからだと思う。そのうち、不登校フェミニズムひきこもりが重なって、これは不登校固有の話じゃなくて、あらゆるコンプレックス(それは社会的に見て影響が大きい小さいに関わらず、自分にとってどれだけ大きいか)の問題なんだと気づく。

多かれ少なかれ、すべての人が今の自分を「選んだわけじゃないんだぜ!」と思っているだろう。それは自己責任への異議申し立てであり、でもだからこそ、「自分で選んでこうなったんだよ」と言うことができる人の目的意識の持ち方や克己の精神にあこがれて、望ましいことと思って、これから社会へと出て行く子どもたちに提示しようとする。それは自分たちがこれから、「なりたい自分」になる努力が出来ますように、という願いであり、祈りであるのだろうと思う。

でも一方で今の社会に必要なのは、『14歳の子を持つ親たちへ』に指摘があったように「何を選び、どんな結果になっても、その人自身は社会のどこか一場面では愛され、受容されなければならない」という認識だろう。

グレッグ・クライツァー『デブの帝国』ISBN:490178420X

ずっと気になっていた「貧富の差による体格の差」以外にも、人々の意識や身体を変えていく要素が、世の中に充ち満ちていることを思い知らされる。経済のために健康が犠牲にされ、また経済的な理由から健康が推奨される…結局金かよ!

糾弾調が過ぎて、ちょっと健康ファシズム(『健康帝国ナチス』)みたいなところもないわけじゃないけれど、その背景には食欲というものを罪悪視するキリスト教的な考え方も色濃くあるうえに、各団体の圧力で地方政治が綱引きされる感じも、じつにアメリカらしいなぁと思った。地方分権が徹底すれば日本もこんな風になるんだろうか。

日本にも給食を民営化しようとか、学校自体をもっと経済的な視点から組み替えようという動きがある一方で、栄養教諭を導入したり、食育基本法なんかの食育に取り組む動きもあって、もう少し違う力学で綱引き中の模様。

三好春樹『元気が出る介護術』ISBN:4007000107

「八〇すぎたら生き仏」被介護者の生活習慣や性格を変えようとするなとか、やたらと訓練したがる人は自分の負った障害と向き合わず、生活意欲に結びついていかないとか、色々身につまされる話が多い。

糖尿なのに甘い物が好きで隠れてまんじゅう食べるおばあちゃんには、厳しく監視するんじゃなくて「美味しそうだなぁ」といって半分もらって食べる量減らすとか、介護介護力でなく介護関係というのを納得させられる例。家族は元気なときのことが頭にあるから悪いところばっかり見てしまう、というくだりになぐさめられる。

まあ、子どもを否定しないで受け入れることを(女性に限らず)母性とよぼう、とか、介護の最後の仕事は老人の求める母性に応えることとか、ちょっとどうかと思う部分もあるけど、確かに気持ちが明るくなった。子ども育てるわけじゃないんだから、お互い適度に力抜いていけばいいんだ。


次点

  • 堀江敏幸『河岸忘日抄』ISBN:4104471038
    • ゆっくりとたゆたうような文章自体が少しずつ読むことを要請する構造。重なり合うモチーフ、意図的に反芻されるエピソード、同じような平板な日々に見えてそうではない、川の流れのような時間。最後の種明かしは全然重要じゃない気がする。ホメオスタシス小説って言ったら怒られるだろうけど、そういう読み方をしてしまった。
  • 内田樹名越康文『14歳の子を持つ親たちへ』ISBN:4106101122
    • 冒頭の「女性が子どもを産みたがらないのは、育った子どもがワケのわかんない子どもになりそうで怖いからだ」という一言で図星を指されて「居着いて」しまった。あとは、はあ、はあ、と聴くばかり。

子どもを自分の望む方向に合致するところでしか認められない母親ばっかりで異常って言うけど、そうじゃない育て方をしてまともな社会人にするのは大変だろうなぁと思う。

*1:そうと知っていたらもうちょっと真面目に見たのに

*2:確かにとても魅力的なフォルムだった

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