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2005-01-312005年1月のベスト

[]今月の三冊200501 6/40 はてなブックマーク - 今月の三冊200501 6/40 - BookSynapse

正月休みに気になってた本をまとめて読んだので3冊を軽く超過。またもや遅れに遅れて更新(2/11)

宮本みち子『若者が社会的弱者に転落する』ISBN:4896916786

2002年11月に出た本で、各章の初出はさらに前なので、言葉としては「負け犬」も「ニート」も出てこないけど、その辺まとめて先取り。みんな読んで暗くなったって言うんだけど、かえって「しょうがないじゃんそういう時代なんだから」って気になったりして。結局この本で言われてるみたいに「失敗してもやり直しがきく」社会を作っていくしかないんだろう。いま上山和樹さんがはてなでやってるプロジェクトがまさにそんな感じです。

佐野洋子『神も仏もありませぬ』ISBN:4480814582

数年前に出た『あれも嫌いこれも好き』があまりにも自由自在ですばらしかったので、これも楽しみにしてました。もっとエネルギッシュかつ老成していて、しかもいままでより自然に近いところで暮らしているせいか野性味と温かみのある土のにおいがするような文章。そして、避けがたい老いと死への、覚悟と呼ぶにはあまりにもあっけらかんとした、悟りにも似た境地。もう一度最初から佐野さんのエッセイを順番に読みたくなる。

堀江敏幸『雪沼とその周辺』ISBN:410447102X

田舎で人生の終盤を生きるシチュエーションは『神も仏もありませぬ』とあんまり変わらないんだけど、こちらはうってかわって枯れた風情。人が生きる事の歓びと哀しみが読み進むうちにじわじわとしみてくる短編集。「河岸段丘」の最後のひやっとするような不安感や、「レンガを積む」のレコード屋さんの温かみ、「ピラニア」の定食屋さんの慎ましさ、どれもがいとおしい。

角田光代『対岸の彼女』ISBN:4163235108/『空中庭園』ISBN:416321450X

負け犬VS勝ち犬小説化か…と思った私は宣伝に踊らされていました。よく考えたら角田光代がそんな小説書くわけがない。『対岸の彼女』はむしろ自分の対人スキルに自信がなく、女同士のつきあいに嫌悪感がある若い女性向きだと思います。小説としてはこなれてて順当。京極フリークの私は『魍魎の匣』の女の子ふたりの関係を思い出したり。

ただし、小説としての「やってやったぜ!」読者としての「読んだぞ!」感は断然『空中庭園』のほうがあると思います。家族というテーマに真っ向から挑んで勝ち取った一冊。

『使える新書2 21世紀の論点編』ISBN:4872902076

1に比べて時事性に特化したパート2。これ、「使える新書」を紹介する本というより、一冊で何冊も読んだことにできる「これ自体が使える新書」なんじゃないかと。なんか既刊新書で『日本の論点』やってみましたという感じでとってもお得。レポートのネタに困った大学生がこの中からテーマ選んで適当に書くのに「使え」そう。

次点

2005-01-24追悼

城戸光子『青猫屋』

[]城戸光子死去 はてなブックマーク - 城戸光子死去 - BookSynapse

http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20050122#p2より

発売当時本屋で幻想的な表紙に一目惚れして買った『青猫屋』ISBN:410415301Xで、初めて日本ファンタジーノベル大賞というものの存在を意識したこともあって思い入れが深く、大変残念です。

和風な世界観といい、水の香りのしてくるような描写といい、逃げ腰の当主とけなげな小僧といい、歌に込められた人の思いで世界が動くところといい、読後感の切なさといい、いまでも忘れられない作品です。お話自体はきっちりパズルが組み合わさってすっきり完璧!という類のものではないのですが、だからこそ何度も読み直して忘れがたかったのかも知れません。歌好き、人形好きの方は是非。

[]光岡明の『薔薇噴水』 はてなブックマーク - 光岡明の『薔薇噴水』 - BookSynapse

薔薇噴水

薔薇噴水

『青猫屋』と同じ年に出た本で、こちらもとても思い入れのある一冊。光岡明さんも最近亡くなられたので思い出しました。九州の田舎を舞台に名もない人たちの、傍目には穏やかながら起伏に富んだ日常を淡々と温かく描いた短編集で、その枯れた情緒が最近読んだ堀江敏幸『雪沼とその周辺』ISBN:410447102Xの読後感とよく似ています。

2005-01-12『野ブタ。をプロデュース』

『野ブタ。をプロデュース

[][]『野ブタ。をプロデュースはてなブックマーク - 『野ブタ。をプロデュース』 - BookSynapse

白岩玄 ISBN:4309016839

けなす気満々で読んだら、思ったほど悪くなかった。サクセスストーリーとして良くできてる。この辺は金城一紀の『レボリューションNo3』とか『フライ・ダディ・フライ』の快感に近い。ただ、野ブタまわりの話は巧くできてるのに、主人公の言動が少々作り物じみているのは惜しい。古典的な「これは本当の自分じゃない」感と、すっかり世間に浸透した"プロデュース"を通して「本当の姿なんてどうでもなる」を対比させたアイデアは買うけど、「文学担当」の主人公パートが「カタルシス担当」の野ブタパートの作り込みに負けちゃってる感じ。作品のバランスを見るに、この人の資質はエンタメ寄りだと思うので、芥川賞は勘弁して欲しい。

まあ、デビュー作としてよくできた話だと思う。『蹴りたい背中』ほどは前衛でなく、『金八先生』よりは本音が混じる教室という戦場の話。

関連

『風葬の教室』『放課後の音符』『問題のない私たち』『エミリー』『彼氏彼女の事情』序盤



[]エキサイトブックス「メッタ斬り!版 芥川賞直木賞選考会」 ニュースな本棚 はてなブックマーク - エキサイトブックス「メッタ斬り!版 芥川賞、直木賞選考会」 ニュースな本棚 - BookSynapse

http://media.excite.co.jp/book/news/topics/114/

結果より、こっちの方が楽しみだったりしましたよ。

はてなでこの話題に触れているひとたち

http://d.hatena.ne.jp/http?//media.excite.co.jp/book/news/topics/114/

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