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2004-11-30
■ [best]今月の三冊 3/24 
コメント書いてる余裕がなくて半月遅れ(12/15)の更新。年間ベスト書く気力が残るかな。
こうの史代『夕凪の街 桜の国』ISBN:4575297445
右の人も左の人も褒めるのでいったいどんな本かと思ったら、どっち側の人も自分に都合のいいように解釈して感動できるという希有な本。それは漫画の責任じゃなくて読者の責任なんだけど。というかむしろどちらにも届く作りにしたのはえらい。『はだしのゲン』はアクが強すぎてダメだったという人にお薦めしたい。ただ残念なのは、漫画として洗練されすぎていて読んでも分からない人が相当いそうなこと*1。なんの先入観も持たないふつうの人に広く読んで欲しいんだけど、「夕凪の街」はともかく「桜の国」が一読で分かる人に「ふつうの人」はいない気がする。ひねくれ、すれた読者を初心に戻らせる本といったところか。
石井政之『顔面バカ一代』ISBN:4062748576
顔にアザを持つジャーナリスト、NPO法人ユニークフェイス代表石井政之の「顔」を巡る長い長い旅。生まれながらにして背負わされた荷物とまっすぐに向き合い、ついには自分自身として受け止める姿には説得力がある。『顔面漂流記』を改題、文庫化。タイトルといい、もともとは単純化されたイラストだった表紙がかなり写実的になったところといい、もうこの人は漂流してはいないんだなと感じられた。
香山リカ『就職がこわい』ISBN:4062122693
この中に「晩婚化問題と就職の共通点」っていう章があるんだけど、ニートと負け犬は同根だ*2っていったのはこの人が最初なのかな*3?就職や結婚などの「どんな問題を考えていても最終的には「自分って何?」というテーマにたどり着いてしまう」傾向があるまじめな若者に『13歳のハローワーク』を読ませて「好きなことを仕事にすれば?」とささやくのはむしろ危険でさえあるという指摘に納得。
「自分って何?」という問いはどんなに理想的な就職をしようが、結婚をしようが答えなどでないと割り切ること。その上で、自分で自分のことを決める自由を確保するには、不本意であろうと就職するしかない。という論旨はそれはそうなんだけど、じゃあそもそも「生き続けて、ある程度自分の自由を確保することに興味がないorその気力がわかない」人はどうすれば…?
*1:すでに家人で実験済
*2:http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2004/11/post_4.htmlからたどっていったあたり参照
*3:この人は近日中に『結婚がこわい』っていうのも出すようです。