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2004-09-302004年9月
■ [best]今月の三冊 3/28 
なんか一発芸みたいなものが多くなってしまった。寒くなってきたせいか心温まるものも多い。
- レーモン・クノー著/ 朝比奈弘治訳『文体練習』ISBN:4255960291
- 早川いくを『へんないきもの』ISBN:4901784501
- 学術的にならずに笑いながら読める軽さが貴重。ドゥーガル・ディクソンの『アフターマン』がおもしろいんだけど文章が硬すぎて、イラスト眺めただけで終わってしまうのとは対照的にさらさらと「読めてしまう」本。
- あとり硅子『ばらいろ すみれいろ』ISBN:4403617662
- ラストコミックス。湿っぽくなるかなと思いながら読みすすむうちに、まったくいつものとおりの作品たちにすっかり気を緩める。それが最後のデビュー当初の未発表作品で「こんなに変わったんだな…これからはもう絶対に変化しないのに」と思った瞬間にこみあげるものが。
次点(多すぎ)
- モブ・ノリオ『介護入門』ISBN:4163234608
- 奥田英朗『空中ブランコ』ISBN:4163228705
- ほんとはまだ型ができあがりきってない『イン・ザ・プール』の方が好みなんだけど、一時期のサイコスリラーとかプロファイリングの過剰供給を抜け出して「精神分析くそ食らえ」「笑って切り抜けろ」が売れまくるのは爽快。
- 河合香織『セックスボランティア』ISBN:4104690015
- 終始一貫して大まじめなので安心して読める。物理的に「不可能」な部分はともかく、基本的に健常者だって悩みは変わらない。本当のボランティアは「自分がやりたいから」するんだって、よく言われるし、ボランティアの定義からして人の数だけありそうだ。
- 漆原友紀『フラグメント』ISBN:4063143570
- カフカ『変身』ISBN:4102071016
- 何でこんな変なのにおもしろいんだろう。『介護入門』の直後だったので、思わず主人公を被介護者にみたてて読んでしまったり。焚書官さんのところで知った文体模写してくださいがまたおもしろい。『変身』+『文体練習』。
- フジモトマサル『ダンスがすんだ』ISBN:4104704016
- 回文絵本。回文に合わせてシュールな展開をみせる話の無理矢理さが回文の無理矢理さとの相乗効果を生んでいる、ような気がする。表題が意味深なのは読まないと分からない。鍋の後のうどんの場面は絵を読んで楽しむ。
2004-09-11
■ [bookG]bookグループ企画室「読書人生に大きな影響を与えた一冊」 
質問が終了しましたので、bookグループ企画室内に案を作りました。bookグループのキーワードたてるのは長らくさぼっているので、心許ないです。どんどん修正してください。
いまのところ、ビジネス書・専門書以外というしばりは、bookグループでは外してもいいかなぁと思っています。一冊というのも、他の企画同様、複数可でいいような気がしています。
9/15
皆さんのご意見を参考にたててみました。いろいろと不備なところは編集していただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
2004-09-09bk1はてな
■ [bk1はてな]読書人生に大きな影響を与えた一冊 
読書が好きな方に質問です。あなたの読書人生に大きな影響を与えた一冊を教えて下さい。その本が何故影響を与えたのか、理由を語っていただけると嬉しいです。純文学・ミステリ・ホラー・ライトノベル等ジャンルは問いませんが、ビジネス書・専門書以外でお願いします。
力一杯の回答を書いて、投稿する前に「そうだ、おもしろいからのっかっとこう」とポイント送信した後で、おもむろに回答しようとしたら「のっかりはてなを行った質問に回答して頂くことはできません。」と断られたのでここに載せます。そんな決まりは知らなかったよー。
高校生の時読んだ京極夏彦の『姑獲鳥(うぶめ)の夏』です。その長さ(いまでは氏の後の作品に比べると薄い、とさえ思ってしまいますが)や懐古趣味的設定、破天荒な構成(小説において大事なつかみが無愛想でめちゃくちゃ冗長)、あり得ないトリック、魅力的なキャラクターなどで、一世を風靡した大変有名な作品ですが、一番影響を受けたのはその世界観です。それまで科学万能、妖怪譚の類はただの物好きの空想だと決めつけていた私には文字通り世界がひっくり返るような衝撃でした。具体的には人間の数だけ世界が存在すること、お化けというものは科学的には存在しないにもかかわらず、やはり見た人にとっては「いる」こと、よのなかにはつまらない本などというものは存在せず、ただ読み手にその受容体がないだけだということなど。
何度読んでもそのたびに納得する部分があるので、同じ本を何度も読むという行為に目覚めてしまいました。またこの本のおかげでそれまで全く興味のなかったどんな本でもおもしろく読めるようになってしまい、あれこれ読みあさって、この本が現代の学問のいろいろな定説や仮説をとけ込ませたオールジャンルの入門書のような作りになっていたことを知りました。フィクション以外のどんな本も抵抗なく読めるようにしてくれた本です。そしてもともと本好きだったのですが、多分この本との出会いのせいで、読書が人生における最優先事項になってしまいました。得たものは大きいですが失ったものもまた大きいような気も(笑)。
愛蔵版より文庫版よりやっぱり何度も読み直した最初のノベルス版(文字がみっしり詰まった二段組み)に愛着があります。
9/11追記
rou6331さんによる集計結果。http://d.hatena.ne.jp/rou6331/20040911#1094898731
労作です。お疲れ様でした!やっぱり綾辻氏は強いなぁという感想です。はてなユーザーには新本格世代が多そうだとは思ってましたが。そして予想通り、京極さんは大人気でした。
10/6追記 この質問は「読書人生に大きな影響を与えた一冊」としてbookグループでキーワード化されました。
rou6331ポイントのっかりありがとうございました。本当に深く感謝します。
京極夏彦は姑獲鳥を飛ばし、魍魎の匣から入った人間なのですが、それでもその世界に衝撃を覚えたものです(“みっしりが印象的でした”)。
私もノベルス版を読んだので、そちらに愛着がありますね。
熱い思いを語っていただけて嬉しいです。一つの本のレヴューとしても楽しく読ませていただきました。
Hebi読書好きとして読むのが楽しみな質問ありがとうございました。結果にもやっぱりはてならしい特徴があっておもしろいですね。(綾辻氏頻出とか)
京極作品、小説的には魍魎のほうが完成度は高いと思うので、人気が高いのも納得です。ネタバレ的にも狂骨みたいに露骨じゃないですし(笑)、最初の一冊としてはいいですよね。
ところで高森太郎さんがhttp://book.g.hatena.ne.jp/TakamoriTarou/20040909で提案されていますが、bookグループの企画としてこの質問使わせてもらってもいいでしょうか。
rou6331質問が終了してからでしたら、結構です。どうぞ使ってください。
そちらの企画も見れるようでしたら個人的に見てみたいです。
Hebiありがとうございます!
TakamoriTarou私からも、ありがとうございます~!
ベースの質問は縛りを付けないと際限がなくなると思って付けていた物なので、変えた方が一冊の幅が広がって良さそうですね。
自分もここではジャンル・冊数など特に縛らなくてもいいと思います。読書の傾向が変わった節目節目、そのジャンルに手を出したきっかけと言うかは待ったきっかけなどの本などとして。興味がありますから。書くにしても結構自分の読書暦を振り返る機会になったりして。ですけど語呂がいいですから名前はこのままでも。