芹沢蔵書目録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-09-25

[]『ZOO KEEPER(1)』 『ZOO KEEPER(1)』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ZOO KEEPER(1)』 - 芹沢蔵書目録 『ZOO KEEPER(1)』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ZOOKEEPER(1) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(1) (イブニングKC)

赤外線視覚を有する新米の動物園飼育係を軸に、動物園のありようを描く作品。見せ物小屋としての商業施設でもあり種の保存を任務とする学術研究施設でもある動物園とはかくあるべきか。

[]『偶然の祝福』 『偶然の祝福』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『偶然の祝福』 - 芹沢蔵書目録 『偶然の祝福』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

偶然の祝福 (文芸シリーズ)

偶然の祝福 (文芸シリーズ)

エッセイのようで私小説のようで小説。書いてあることの半分ぐらいは筆者自身のことなのかも知れないが全てが真実ではないだろう。嘘と真の境界が曖昧になる面白さ。

[]『ホテル・アイリス』 『ホテル・アイリス』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ホテル・アイリス』 - 芹沢蔵書目録 『ホテル・アイリス』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)

ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)

御免これ駄目だ。最初1/3ぐらい読んで放り出した。小川洋子の本で途中放棄したのは初めて。

こういう場末の生々しい退廃さは不快感の方が先に来てしまう。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/DocSeri/20060925

2006-09-15

[]『沈黙博物館』 『沈黙博物館』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『沈黙博物館』 - 芹沢蔵書目録 『沈黙博物館』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

沈黙博物館 (ちくま文庫)

沈黙博物館 (ちくま文庫)

やっと読むことができた。Amazonにお薦めされてから1年以上。

辺鄙な村に招聘された博物館技師が老婆のコレクションを元に形見を収集する博物館を作る話。

形見の蒐集という行為自体、死と密接に関わっている。その上、そこに「沈黙の行」を実行する修道士たちと連続殺人者が絡み、また主人公自身も遺品を「盗んでくる」というインモラルな行為を余儀なくされる。

小川作品中でも群を抜いて偏執狂的。

[]『余白の愛』 『余白の愛』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『余白の愛』 - 芹沢蔵書目録 『余白の愛』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

余白の愛 (中公文庫)

余白の愛 (中公文庫)

突発性難聴に罹り耳鳴りを聴く女性と速記者の男性との静かな関係性。可もなく不可もなく。

小川的フェティシズムは今回、指と耳を中心に発揮された。あらゆる騒音が洪水のように渦巻き、或いは耳鳴りを聴き続けることで外部の音を正常に認識できなくなる女性と、彼女の話を静かに滑らかに書き取ってゆく速記者。耳と指だけの関係。

[]『やさしい訴え』 『やさしい訴え』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『やさしい訴え』 - 芹沢蔵書目録 『やさしい訴え』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

やさしい訴え (文春文庫)

やさしい訴え (文春文庫)

小川洋子で初めての外れ。

家を出た妻が別荘でチェンバロ製作者の男性と知り合う話だが、普段は静謐な死と病を好み生気を憎悪の対象とすら考える小川作品には珍しいことながら、初めから恋情が(それも縺れたものが)絡んでくるものでどうにも居心地が悪い。

[]『完璧な病室』 『完璧な病室』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『完璧な病室』 - 芹沢蔵書目録 『完璧な病室』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

完璧な病室 (中公文庫)

完璧な病室 (中公文庫)

癌で死を待つ弟を看病する姉の視点から書かれた話と、痴呆の祖母の看病による正常状態の喪失・そこからの解放による喪失を描く話から成る短編。

共通するのは摂食行動への偏執狂的憎悪か。食べるという行為はしばしば、見る側にとって好ましくないものとなり得るが、本書はそれを生理的嫌悪を以て描き出す。

[]『博士の愛した数式』 『博士の愛した数式』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『博士の愛した数式』 - 芹沢蔵書目録 『博士の愛した数式』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

博士の愛した数式

博士の愛した数式

非常に読み易い作品。はじめて小川洋子に触れるには適当だろう。その分、後でダメージを受けるかも知れないが。

家政婦とその息子の、80分しか記憶が連続しない数学博士との生活。深刻な症状ではあるが死との関係性は薄い。その分の物足りなさを数学が補う。

[]『シュガータイム』 『シュガータイム』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『シュガータイム』 - 芹沢蔵書目録 『シュガータイム』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

シュガータイム (中公文庫)

シュガータイム (中公文庫)

一つ一つが前の話と関連した連作短編、というよりは一つの長編を細分化して連載したもの。過食の女性による食事の記録を中心に、身の周りで起こるできごとを描いているが、本質的に重要なのはその摂食衝動だろう。ある意味では「完璧な病室」同様に食餌を好ましくないものと捉えている向きがあるが、死に向かわない分暗澹たる雰囲気が陰を潜め、明るくはないが暗くもない淡々とした読み心地に繋がっている。

[]『冷めない紅茶』 『冷めない紅茶』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『冷めない紅茶』 - 芹沢蔵書目録 『冷めない紅茶』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

冷めない紅茶

冷めない紅茶

中編2作。割合捉えどころのない作品に感じる。

[]『疾走!千マイル急行(下)』 『疾走!千マイル急行(下)』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『疾走!千マイル急行(下)』 - 芹沢蔵書目録 『疾走!千マイル急行(下)』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

上巻がいま一つ乗れなかったので下の購入を躊躇っているうちに忘れていた。図書館のティーン向けコーナーで発見したので確保。


何が気に入らなかったかと言えば、偏にこれがSFでないことに尽きる。私は小川一水の社会的政治的作風が嫌いではないが、それはあくまでSFに立脚しているときの話だ。これはフィクションではあるが、サイエンスをベースとしたものではない。

それでも、価値観の転換を含むSF的作法は見て取れたし、機関車という前世紀の遺物には思い入れがあるから、そういう点は大いに楽しんだ。


ところで市立図書館、ティーンズ向けの分類がおかしくないか。グレッグ・イーガンと古橋秀之が並んでいる光景はなんともシュールだ。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/DocSeri/20060915

2006-09-11

[]『家に棲むもの』 『家に棲むもの』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『家に棲むもの』 - 芹沢蔵書目録 『家に棲むもの』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

家に棲むもの (角川ホラー文庫)

家に棲むもの (角川ホラー文庫)

ホラー短編集。テーマは「食性」?ややパンチ不足か。

[]『目を擦る女』 『目を擦る女』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『目を擦る女』 - 芹沢蔵書目録 『目を擦る女』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)

目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)

ホラー/SFの混在する短編集。仮想と現実の境界をテーマに編集されているようだ。

個人的にはナンセンスSF「刻印」がお気に入り。

[]『肉食屋敷』 『肉食屋敷』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『肉食屋敷』 - 芹沢蔵書目録 『肉食屋敷』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

肉食屋敷

肉食屋敷

ホラー/SFの混在する短編集。方向性もまちまち。

「ジャンク」のバイオ=パンクな方向性は好み。これで長編展開して欲しい。

「獣の記憶」は叙述トリック的に面白い。ミステリとしてはやや反則ではあるが。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/DocSeri/20060911

2006-09-08

[]『ネクロポリス』 12:18 『ネクロポリス』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ネクロポリス』 - 芹沢蔵書目録 『ネクロポリス』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ネクロポリス 上

ネクロポリス 上

ネクロポリス 下

ネクロポリス 下

推理小説に分類すべきなのか、それとも幻想/恐怖小説か。今もって解らない。


ヴィクトリアン・ファーイーストと呼ばれる島国。黒潮の関係で流れ着いた日本人(彼らはここを補陀落浄土と理解した)と英国からの移民が混在する奇妙な土地。

この地には「アナザー・ヒル」と呼ばれる異界がある。年に一度、ヒガンの時期になると親族を亡くした人々が集まり死者との邂逅を待つ場所だ。

降霊会のようなものではない。もっと直截的に、彼らはこの地に「出現」する。実体を伴って。


経験的に、死者は決して嘘を吐かないことが知られている。従って、ここで「お客さん」と会話した内容には法的証拠能力があるとされ、滞在者は各自貸与された手帳への会話内容記録が義務付けられている。

特に今年は、「血塗れジャック」と呼ばれる連続猟奇殺人事件が発生した年である。事件解決のためにも、(そしてミステリ好きの野次馬にとっても)注目が集まる中、なんと入口の大鳥居に新たなるジャックの被害者が吊るされているのが発見される。どうやら今年のヒガンは一筋縄では行かないようだ。


連続殺人事件の真相に加え過去5人もの夫を亡くしている黒夫人による夫殺しの噂、10年前に失踪した叔父の行方などミステリ風味満載だが、一方で異界との境界を舞台としたロー・ファンタジーの様相も色濃い。その上、日本の風習が英国式に取り入れられて変容するという文化人類学的面白さまで合わせ持つ。

正に恩田陸の全てを凝集したような作品であった。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/DocSeri/20060908

2006-09-06

[]『天涯の砦』 『天涯の砦』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『天涯の砦』 - 芹沢蔵書目録 『天涯の砦』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

本当に小川一水は絶望的な状況を作り出すのが巧い。

日本の低軌道宇宙ステーション「望天」。疑似重力のために回転する居住区と無重量工業のために回転しない工業区を併せ持つ複合施設である。

全体を静止或いは回転させるなら話は簡単なのだが、相対的に回転するブロックを持つということは構造的に難しい部分が多い。望天は巨大なベアリングによって回転軸を支えていたが、グリスの選択ミスによって致命的な事故が発生、構造体は崩壊し、居住ブロックが八方に飛散した。

そのうち一つ、月面往還船と衝突したブロックを舞台に繰り拡げられる脱出劇。小川一水お得意のカタストロフィSFである。


本当に小川一水は癖のある人物を描くのが巧い。

惑星間飛行士の試験に落ちて世を拗ねた作業員、診療報酬を巡る事件で月面を放逐された医師、肚に一物ある制御環境学者、秀才だが社交性に欠ける青年と金持ちで美人だが社交性が全く欠如したお嬢様……ある意味でスペシャリスト揃いで、またある意味で碌な人間がいない。

彼の面白いところは、癖のある人物をただ癖があるものとして描くのではなく、そうなるに至った背景をも説明し、人格に沿った行動を取らせることで説得力……とでも言うか、物語の厚みを出せる点である。只の悪役、只の邪魔者はいない。人間にあまり関心を持たず、文学性の薄いとされるSFに於いてある種貴重なタイプだ。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/DocSeri/20060906

2006-09-05

[]『ネフィリム 超吸血幻想譚』 『ネフィリム 超吸血幻想譚』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ネフィリム 超吸血幻想譚』 - 芹沢蔵書目録 『ネフィリム 超吸血幻想譚』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ネフィリム 超吸血幻想譚

ネフィリム 超吸血幻想譚

……これは終盤部分落丁?SF的謎部分が徐々に明らかにされ、ボスとの死闘が開始された正にこれからという所で唐突な終焉。ページ数にして300ちょっと、どう見ても最後100ページほどが欠けている。図書館にその旨連絡の上、破損のないものをリクエストしたい。

[]『εに誓って』 『εに誓って』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『εに誓って』 - 芹沢蔵書目録 『εに誓って』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

εに誓って (講談社ノベルス)

εに誓って (講談社ノベルス)

Gシリーズ第4作。……GシリーズのGってギリシャ文字のGかと思ってたけど、ひょっとして○○○*1のG?いやそれならJか。

かなりの叙述トリック。これ自体ネタバレ的ではあるが。

ややフェアさを欠く印象は否めないものの作品の面白さを損なうものではない。

*1:1作目〜3作目のネタバレになりかねないので伏せ字で字数のみ

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/DocSeri/20060905

2006-09-04

[]『深淵のガランス』 『深淵のガランス』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『深淵のガランス』 - 芹沢蔵書目録 『深淵のガランス』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

深淵のガランス

深淵のガランス

北森鴻お得意の美術ネタなのだが、どうも今一つしっくりこない。変に創り過ぎたキャラの所為だろうか。

「花師」にして「絵画修復師」、客を選び裏社会との繋がりもある男。まるっきりブラック・ジャックである。必ずしもそれを悪しとはしないが、少なくとも作品中で彼が花師であるという設定がどこにも活きていない。

決してつまらぬ作品ではないのだが、にも関らず微妙に嵌まり切れない。残念だ。

[]『ルート350』、『LOVE』 『ルート350』、『LOVE』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ルート350』、『LOVE』 - 芹沢蔵書目録 『ルート350』、『LOVE』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ルート350

ルート350

LOVE

LOVE

2冊まとめて。

淡い指向性を持つ短編集。彼の作風は気に入っているし、青春だったり劇的なドラマだったり、他ではまず読まない傾向の話を楽しんでもいるのだけれど、一方で微妙に期待を裏切られたような気分を持て余してもいる。それはつまり、私が『沈黙』と『アラビアの夜の種族』から古川に魅入られていることと無関係ではない。これは面白いよ、面白いけど違うんだ。僕にもっと魔術書を!

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/DocSeri/20060904