芹沢蔵書目録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-07-25

[]『導きの星『導きの星』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『導きの星』 - 芹沢蔵書目録 『導きの星』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

なんとなくライトノベル風味を感じて敬遠していたことを後悔する。これは紛うことなき小川一水の代表作だ。


高度な技術力により望みのほぼ全てを叶え、種として老成期にある人類の大事業は、周辺中域に発見された地球外知性体の育成であった。自らの過ちを糧とし、自滅的にならぬよう文明を導く。地球人類としての直接的な接触を避けて自発的な成長を促し、ときに方向を微調整しながら。

主人公の青年はそんなCivilization Observerとして611番目の知的生命体育成の任に着くが、事故により予期せぬ直接接触が発生、為し崩しに強引な育成を敢行してゆく……


主人公の青年を補佐する3体の目的人格*1が女性格だったりする辺りは如何にもライトノベル風、また全体を通じて登場人物をキャラクター豊かに描いており、その魅力で強力に牽引してゆくので非常に読み易い。しかし文明育成を通じた人類の歴史に対する多重のメタ視点や言語学・歴史学・総合科学・社会学その他広範な知識体系に支えられた異文明描写など、ハードSFとしても実に読み応えのある作品に仕上がっている。

序盤はファーストコンタクトの驚きを、中盤は歴史の追体験を中心としたメタ視点を、後半には一気に視点を広げて予期せぬ展開を。

シリーズものではなく単一作品で4巻とかなりのヴォリュームだが、思わず一晩で読破しそうになるほどの面白さを保証する。


小川一水は多分、かなりの理想主義者なのだろう。科学/技術中心の、冷静で理知的な判断を是とし、権謀術数や戦争を(もっと言ってしまえば多分、中央集権的政治スタイルを)非とする基本スタンスを明確に持っているように思える。

しかし同時に、そうした行為が社会の必要悪であることも認識しており、それを描くことに躊躇がない。

野尻抱介が自然科学中心の典型的ハードSFスタイルを取るのに対し、小川一水は人間中心でありながらハードSFを書く異端の作家だ。


最近の国産SFには、海外へ輸出しても恥ずかしくないレヴェルの作品が多数ある。これらが英訳されて海外でも読まれると嬉しいのだが。早川あたり、そういうことにチャレンジしないものだろうか。

*1:限定的な人権を有する人造知性体。人間では不可能な高度情報処理を担当する

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2006-07-21

[]『シャドウ・パペッツ』 『シャドウ・パペッツ』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『シャドウ・パペッツ』 - 芹沢蔵書目録 『シャドウ・パペッツ』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

『エンダーのゲーム』シリーズ最新作。ピーター"ヘゲモン"ウィッギンが人類最悪の敵アシルを側近に登用したために覇権政府を脱出したビーンとペトラを中心に話が進む。

しかし今回の主人公はむしろアシルの方なのではないかという気も。彼自身の登場シーンはごく一部だが、すべての登場人物が彼を恐れ彼に振り回される。

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貴婦人Aの蘇生

貴婦人Aの蘇生

本当に小川洋子は死を静謐に描く。賛美せず、嫌悪せず、しかし隠蔽せず、ただ淡々と、そしてしっかりと死の匂いを伝える。

叔父の死、入院していた老婦人、数々の剥製と毛皮。どれも濃密な死を漂わせながら、しかし悪趣味にならないぎりぎりの線で踏み留まる。

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四季・冬 (講談社ノベルス)

四季・冬 (講談社ノベルス)

真賀田四季博士を中心に描くシリーズ最終巻。複数のシリーズを繋ぐミッシング・リンクであることは認識していたが、まさかあのシリーズまでも一続きに繋げてしまうとは。

こういうやり方もひとつのミステリと言える、だろうか。

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Φは壊れたね (講談社ノベルス)

Φは壊れたね (講談社ノベルス)

S&MともVとも違うシリーズの、どうやらこれが第一作のようだ。集合住宅の一室で前衛的に死んだ芸大生の密室を解く。

すっきりして無理がない分印象に残り難い印象。解決に至る思考過程が面白い。

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宗像教授異考録 第2集 (ビッグコミックススペシャル)

宗像教授異考録 第2集 (ビッグコミックススペシャル)

相変わらず大胆な考古学説を展開するシリーズ。今回は七夕→クレタ島/耶馬台≒大和など。

ところで、はまぞうで気付いたのだが、7月28日には3巻発売の予定らしい。2巻が出たばかりだというのに。

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さんさん録 (2) (ACTION COMICS)

さんさん録 (2) (ACTION COMICS)

多大な余韻を残しつつ終了。どこかで今後を描いて欲しい、と思ってしまうがそれは多分蛇足というものだろう。

[]『酒ラボ』 『酒ラボ』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『酒ラボ』 - 芹沢蔵書目録 『酒ラボ』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

酒ラボ (KCデラックス)

酒ラボ (KCデラックス)

もやしもんの隣にあった農大醸造学漫画。この人、ハンサムも美人も描けるんだけど、どちらかと言うと冴えない人の方に愛を感じたり。

[]『ヨコハマ買い出し紀行(14)』 『ヨコハマ買い出し紀行(14)』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ヨコハマ買い出し紀行(14)』 - 芹沢蔵書目録 『ヨコハマ買い出し紀行(14)』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ヨコハマ買い出し紀行 (14) (アフタヌーンKC (1176))

ヨコハマ買い出し紀行 (14) (アフタヌーンKC (1176))

長かった連載もとうとう終わり。もう12年にもなるのか……

人々は歳を取り、彼女らは変わらずそこにいる。

時間をかけて、ゆっくり1巻から読み返そう。

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