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2005-12-19

[]『機動警察パトレイバー』 09:48 『機動警察パトレイバー』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『機動警察パトレイバー』 - 芹沢蔵書目録 『機動警察パトレイバー』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

久しぶりに一気読み。

リアルタイムで読んでいた当時には判らなかった社会的/政治的描写の一つ一つが理解できるとまた違った面白さがある。

例えば、内海課長と黒崎のチェスシーンで

  • 黒崎「あの二人……生かしておくんですか?」
  • 内海「うーん……えいっ(チェス盤をひっくり返す)」
  • 黒崎「ああっ!……ひどいな課長は」
  • 内海「このように、思いもよらぬ事故が起こることもあるもんだよ」

なんてのは、当時は単に負けそうになった内海がノーゲームにしたとしか見ていなかったが、考えてみればこれは「事故に見せかけて処理しておけ」という意味なのかも知れない。


対グリフォン戦〜13号あたりを読んでいてつくづく感じたのは、この人は現場の緊張感を書くのが実に巧みということ。実際に出動した時の動的な緊張感ではなく、いつ出動がかかるか判らない、焦りを含んだ静的な緊張感。

そしてまた、ドラマ的なレイヤの切り分けが巧みということ。読者に対しては敵味方の出方を見せて流れを明確にしながら、同時に各々の陣営が相手の出方を推測して手探りで動く様子を描き出す。

序盤こそ「あ〜る」の影響を引きずったようなギャグ要素を入れているものの、全体としては非常に真面目な社会派SFである。巨大ロボットものの範疇ではあるが、明らかに少年誌のテリトリーではない。


それにしても、商品開発のためのテロを容認したり軍隊まがいの警備会社を持っていたりと、シャフト・エンタープライズはまともじゃない。ああいう企業が存在できたり廃棄物13号のようなものが出現するあたり、この作品は「ロボットが実用化された輝かしい未来」を書いているようで実はディストピアなんじゃないかという気もする。

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