芹沢蔵書目録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-04-28

[]『寡黙な死骸 みだらな弔い』 『寡黙な死骸 みだらな弔い』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『寡黙な死骸 みだらな弔い』 - 芹沢蔵書目録 『寡黙な死骸 みだらな弔い』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

寡黙な死骸 みだらな弔い

寡黙な死骸 みだらな弔い

id:Hebi:20050423:p5で頂いた小川洋子『沈黙博物館』、実は以前からAmazonにもお薦めされていてずっと気になっていたのだった。

というわけで、取り敢えず借りてみようと思ったのだが、図書館には生憎見当たらなかった(貸し出し中なのか、そもそも蔵書にないのかは未確認)ので、目についた他の本を借りてみる。


淡々とした文章。ストーリーは盛り上がりというものを知らず、ただ一人の人物の押し殺した感情と周囲の視界が語られるのみである。ケーキ屋で店員をただ待つ女性、病院の秘書を見守る事務員、控え目な同級生との食事、言葉にすればどうということのないその風景はしかし、どこか奇妙に捩じれても居る。

通底する仄暗い死の匂い。穏やかではあるが濃密な死が、全体を浸す。ゆるやかに満ち引きを繰り返し、時々表面に浮かび上がる海。

他者の作品に例えるならば、谷山浩子の『歪んだ王国』や『天空歌集』に見える暗さと同質のものだ。慣れ親しんだ、懐かしい匂い。

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ブラフマンの埋葬

ブラフマンの埋葬

こちらも死のイメージを持つタイトルだが、内容は随分と違う。

芸術家向け宿泊施設の住み込み管理人が、怪我をして倒れていた奇妙な生物を拾って飼う、それだけの話。章ごとに硬めの表現でこの生物の特徴について箇条書きされ、硬軟の繰り返しがリズムを作る。

短い足、茶色の毛皮、鈎のような爪、体より長く細い尾、肉球の間に水掻き。いったいどんな生物なのか。

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2005-04-27

[]『捩れ屋敷の利鈍』 『捩れ屋敷の利鈍』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『捩れ屋敷の利鈍』 - 芹沢蔵書目録 『捩れ屋敷の利鈍』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

捩れ屋敷の利鈍 (講談社ノベルス)

捩れ屋敷の利鈍 (講談社ノベルス)

良く解らないタイトル。捩れ屋敷、とは作中に登場する捩じれたリング状の奇妙な構造物(それは建築法に適合しないので屋敷ではない)であるが、「利鈍」とはいかなる意味の言葉か。

まあそんなことはどうでも良いのであって、重要なのはこれがS&MシリーズとVシリーズを繋ぐ鎖だということ(とはいえSもVもほとんど登場しないが)、そしていかにも新本格らしい「トリックのためだけに建てられた館による」密室トリックものだということ。


数ある森作品の中でも(短編以外のミステリとしては)一番短い作品であろう。その中に謎が二つ、探偵が二組。密度も一番かも知れない。

ところで、実は作中でも密室トリックのためだけに建てられたこの館は、新本格に対するメタな演出なのだろうか。

[]『ナ・バ・テア』 17:20 『ナ・バ・テア』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ナ・バ・テア』 - 芹沢蔵書目録 『ナ・バ・テア』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ナ・バ・テア

ナ・バ・テア

スカイ・クロラの続編、というか時系列的には前の話ということになる。前作についても変なタイトルだということを書いたが、これを見る限りわざと解り難くしているようだ。邦題からNone But Airなんて誰が考えつくだろうか。

主人公の乗る「散香」以外についてあまり描写されなかった前作に対し、「翠芽」「染赤」「泉流」などへの描写が増えたのは航空機マニアには嬉しいところ。ちょっと3Dで作ってみたくなる。

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2005-04-23サンジョルディの日にtrackbackで本を贈ろう

グループ企画[サンジョルディの日にトラックバックで本を贈ろう]に乗ってみる。

読書傾向を知っているわけではないから的外れなものや既読のものが送られることもあるかも知れないが、笑って流して頂きたい。

この項は時間を見つけて少しづつ書いて行く。

[]d:id:sugio師へ:『ちはやふる 奥の細道』 d:id:sugio師へ:『ちはやふる 奥の細道』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - d:id:sugio師へ:『ちはやふる 奥の細道』 - 芹沢蔵書目録 d:id:sugio師へ:『ちはやふる 奥の細道』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

ちはやふる奥の細道

ちはやふる奥の細道

米国の日本文化研究家W.C.フラナガンの著書を小林信彦が訳したもの。……ということになっているが、完全な小林信彦の創作である。

似非外人の、半端な知識と誤解に基づく芭蕉研究書。意図的な誤訳が面白い。

訳す人、sugioさんへ。

[][]id:Hebi氏へ『浮揚譚』 id:Hebi氏へ『浮揚譚』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - id:Hebi氏へ『浮揚譚』 - 芹沢蔵書目録 id:Hebi氏へ『浮揚譚』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

浮揚譚

浮揚譚

死の味を共有できそうなHebiさんにはこの絵本を。

『ぽっぺん先生』シリーズ等ですっかり児童文学作家として認識されている舟崎克彦だが、実はかなり暗い話も書く。

生きとし生けるものすべてを死に至らしめた女王の話。建石修志の硬質で美しい絵との相互作用により、深い闇を内包するちいさな絵本。

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2005-04-22

[]『スカイ・クロラ』 『スカイ・クロラ』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『スカイ・クロラ』 - 芹沢蔵書目録 『スカイ・クロラ』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

スカイ・クロラ

スカイ・クロラ

現代舞台のミステリではないので躊躇があったが、森作品ということで取り敢えず読む。

戦闘機乗りの話。人名は概ね日本人のように聴こえるが、この世界は私たちの知る世界ではない(或いは、私たちの知る歴史ではない)。戦争を業務化し、もう50年もレシプロ機で戦争を続ける、そんな世界。

森ミステリのノリ-----謎と鮮やかな解明-----を期待すると肩すかしを食らうだろう。ストーリーは盛り上がりもなく淡々と続く。如何にも森作品らしい、感情の起伏に乏しいキャラが黙々と日々を過ごす、それだけと言えばそれだけの作品。

飛行機に愛がある人には面白く、そうでない人には面白くない。


表紙を見るまで「Sky Crawler」だとは気付かなかった。それなら「スカイ・クローラ」では。

[]『四季 春』 『四季 春』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『四季 春』 - 芹沢蔵書目録 『四季 春』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

四季・春 (講談社ノベルス)

四季・春 (講談社ノベルス)

『すべてがFになる』の真賀田四季博士を描く4部作。「春」は幼少の真賀田四季に付いての描写が中心でミステリ色は薄い。

当所から人間離れした天才として描写されてはいたが、これは殆ど別種の生物である。

[]『ロミオとロミオは永遠に』 『ロミオとロミオは永遠に』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『ロミオとロミオは永遠に』 - 芹沢蔵書目録 『ロミオとロミオは永遠に』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

歪んだ未来を描く冒険小説

21世紀も後半になり、人類は自らの罪-----享楽的な生活と環境破壊-----を恥じて「新地球」に移住、しかし日本人だけは地球に残って廃棄物の処理をすることになった。自由は今や退廃を生むものとして忌み嫌われ、厳重な管理のもと抑制された生活を送る日本人。

だが、「大東京学園」を優秀な成績で卒業できれば、ほんの一握りの指導者層への道が開ける。希望を胸に激しい入学試験レースを勝ち抜いた生徒を待ち受けるものは、更に過酷な毎日と、前世紀の遺物たるアンダーグラウンド(二重の意味で)だった。


20世紀の狂騒をブラックにデフォルメした描写が面白い。観覧車は懲罰房、廃棄物が集積されたディズニーランドには突然変異の耳黒マウス。悪趣味と郷愁に満ちた、ある一つの愛の形ではある。

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2005-04-15

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あいにくの雨で (講談社ノベルス)

あいにくの雨で (講談社ノベルス)

id:mutronix氏に影響を受けて、麻耶雄嵩を読んでみる。

話はいきなり13章から始まる。登場人物は以前の事件のことを口にする。以前?前作からの続き物かと少し焦るが、どうやらそうではないらしい。時系列を遡って1章から話は続く。

ミステリーとしてよりも高校を舞台にした陰謀劇の方が面白い。それとは別に、バラダギだのサンダ/ガイラだのといったネーミングに笑う。

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痾 (講談社ノベルス)

痾 (講談社ノベルス)

できればデビュー作から順に読みたかったが、まあ仕方がない。まさか「最後の事件」から始まっているとは思いもしなかった。

『あいにくの雨で』と主人公を同じくする良く見たら違っていた。烏兎と烏有。「変な名前」+大まかな字面で認識されてしまうから気付かない。……という叙述トリック(?)ができると思った作品。ただしそれ以外の人物について共通点はない。

文章力はちょっとアレだ。難解な表現を多様する-----というのは専門用語が多いとか広く知られていない熟語を用いるとかいったことではなく、意味を図りかねる謎の表現が散見される-----ので、内容とは無関係に妙な違和感を覚える。意図してやっているとしたら凄いことだが。

真相、というか動機の部分はかなり飛躍している。正真のミステリファンは激怒するだろう。芳しくない評価については理解できた。

なるほどこれはミステリではない。

mutronixmutronix2005/04/15 15:42[文体]デビュー作(『翼ある闇』)は清涼院流水みたいです。読まれた二つは僕も微妙だと思ってたので(『あいにくの雨で』は読んでない)…まぁ先に読んでよかったんじゃないかと…むにゃむにゃ…今まで読んだ中では短編集(『メルカトルと美袋の~』)が一番お奨めできます。

DocSeriDocSeri2005/04/15 15:49清涼院流水……それはまた地雷な……
あと手元にあるのは「夏と冬の〜」と「木製の王子」と「メルカトルと美袋の〜」。当たり外れも解らぬ内から借り過ぎですか。

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2005-04-12

[]『占い師はお昼寝中』 『占い師はお昼寝中』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『占い師はお昼寝中』 - 芹沢蔵書目録 『占い師はお昼寝中』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

占い師はお昼寝中 (創元推理文庫)

占い師はお昼寝中 (創元推理文庫)

猫丸先輩シリーズの流れを汲む、童顔/小柄/社会不適合な探偵の出る作品。但し今回の探偵は、中年の占い師である。

呪文を唱えながら半紙を濡らして模様で占うといういい加減な演出と口から出任せの因縁話で誤魔化しながら、その裏に隠された鋭い洞察力で依頼者の悩みの原因を突き止め適切なアドヴァイスを与える。

殺人のような重大事件を扱いはしないものの、初対面のワトスンの来歴を言い当ててみせたホームズのような鋭さと妙な魅力が面白い。

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星降り山荘の殺人 (講談社文庫)

星降り山荘の殺人 (講談社文庫)

ここまで創元クライムクラブを中心に読んできたが、これは講談社から刊行された作品。動機を考慮せず可能性から推理を組み立てる本格ものであるが、同時に各章の冒頭に示された解説によって事件の明確化とミスリードを狙う、叙述トリックでもある。

いつもの飄々とした雰囲気がないためか、ややぎこちない文体に感じられて少々読み難い。物理的な意味でのトリックは意表をつくようなものではなく、倉知作品としては中の下。

この人は全体に、短編の方が得意なようだ。

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2005-04-06

[]『幻獣遁走曲』 『幻獣遁走曲』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『幻獣遁走曲』 - 芹沢蔵書目録 『幻獣遁走曲』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

倉知淳作品をまとめて借りてきたのだが、これは前に読んだことのあるものだった。まあ読んだのは随分昔の事で、真相まで覚えているわけではないから、ミステリーとして楽しむに不具合はない。


倉知淳の主力「猫丸先輩」シリーズの短編集で、いくつかの不可解な謎に猫丸氏が解釈を与えるもの。下の「日曜の夜は出たくない (創元クライム・クラブ)」ではすべて殺人事件だったが、今回はすべて殺人以外の事件である。平和な性格の先輩に相応しい事件と言うべきか。

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競作五十円玉二十枚の謎 (創元推理文庫)」でデビューを果たした猫丸先輩の、短編集第一弾。人を圧倒する洞察力で次々に殺人事件の真相を解き明かすが、「五十円玉〜」でも発揮された強引さがここでも……と思ったら、まさかあんなことになるとは。うーむ。

もうメタメタである。

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2005-04-05

[]『壷中の天国』 『壷中の天国』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『壷中の天国』 - 芹沢蔵書目録 『壷中の天国』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

壷中の天国 (角川文庫)

壷中の天国 (角川文庫)

冒頭から電波系の。文書が支離滅裂で。しかしちゃんと研究を。実にそれらしい文体が。見事に怪電波を受信し居り。インパクトに思わず。図書館から救出を。


ミステリーの探偵役は少なからず作者の理想像或いは嗜好の投影と思われ例えば森博嗣の作品には理系で天才的な洞察力を持つ人物が多く登場するのは作者自身及びその類型あるいは理想型の投影であるのは論を俟たず倉知淳もまた飄々とした変人ばかりを探偵に選ぶのは恐らく自身がそのような人物であろうと判断できるが本格系が主にトリックを主眼に置いて「可能」性を論じるのに対し倉知淳は寧ろ犯人像の分析と犯行理由を主体に論を展開するので本格のように当初より犯人を登場させその不可能性を崩すことは重要ではなく只只探偵が真相を掴むに至った経緯こそを楽しむものであるので犯人が最後まで登場しないこともあるが卑怯とかノックスの十戒がどうとか問題視するのは愚の骨頂であり大変面白いのですぐ読むが良いと言い切れるので図書館にあった版は青い表紙にアニメキャラの如きが描画されたハードカバー版であったがアマゾンは文庫版しか扱って居らぬ為止む無くこれを紹介するものであるが内容に相違はないと断言できるので特に問題はない筈であり即時購入するのも良いが畢竟オタク話を中心に病んだ世界が具に描写されるので嫌悪を感じる向きは注意すべしと警句を発して結びとしたい


参考:404 Not Found

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