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2004-11-25

[]『どすこい(安)』 『どすこい(安)』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『どすこい(安)』 - 芹沢蔵書目録 『どすこい(安)』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

どすこい(安)

どすこい(安)

父が好まなかったようであまり借りて来なかったので、京極を読み始めたのは既に塗仏まで刊行された後であった。慥か『どすこい』が刊行されたのはその前ではなかったかと思うが、当時は取り敢えず本筋を追うだけで、別系統には手を付けていなかった。

とは言え噂は聞いていたから、それがどんな物かは何となく判ろうと言うもの。

で。

……うーむ。面白いが読まなくても良い。そういう類いの本だなこれは。パロディの元を知らないと楽しみはかなり薄れるし、全編通じてしまりのない相撲取りのような展開で、本筋とは別の意味で読み難いことこの上ない。

ところで(仮)と(安)、さらにもう一種あるようだが多分これは版形の違いであって中身は一緒なんですよね?

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巷説百物語 (怪BOOKS)

巷説百物語 (怪BOOKS)

例によってミステリ風の。

「不可思議なことが起きてそれを調査解決する」のではなく、昔起こった事件にけりを付ける為に仕掛けるという展開はなかなか面白い。ただし最後になって「探偵が通以下情報を明らかにする」部分が多々あるのでミステリとして読むと落ち着かないだろうが。

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富士見ファンタジア長編小説大賞初の大賞受賞作。当時読んで面白いという印象を得はしたものの、既に10年以上前の話、記憶は朧であった。

大筋は北欧神話をベースにしたファンタジーである。(ストーリーはともかく)紋切り型なファンタジー観の多かった当時のライトノベル界隈では異彩を放つ本格的なヒロイックファンタジーで、富士見レーベルから登場したのが惜しまれる程の力量を感じる。事実この後発表された「骨牌使いの鏡」は(まだ読んでいないのだが)富士見にしては多分珍しいハードカバーでの刊行となった。

難を言えばゲルダが園に囚われるくだり、展開がやや唐突で多少の混乱を来すものがあるのだが、瑕疵という程のものでもない。

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2004-11-22今日までの読了

[]『コッペリア』 『コッペリア』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『コッペリア』 - 芹沢蔵書目録 『コッペリア』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

コッペリア

コッペリア

人形と人形師と生き人形と人形に恋をした男の話。

ミステリーであるので内容については触れないが、代わりにモデルとなった人形/人形師について語ろう。


作中に登場する人形作家「如月まゆら」には、明らかにモデルが存在する。

天野可淡。夭折した異端の人形作家。彼女の創った人形はいずれも、深い闇を秘めている。

すべからく人形にはどこかしら死の陰のようなものがあるものだが、彼女の人形はその陰が格段に濃い。すべての人形はやせ細り、虚ろな目に暗い(けれども意志の強い)光を宿している。

それをはじめて目にしたのは高校の頃、トレヴィルから刊行された写真集「KATAN DOLL Retrospective」(ISBN:4845707233、絶版)であった。全体に漂う強い死の匂いは衝撃的であり、以前より骸骨を好んで描く傾向にあった私はこのとき初めて、自分がtanatomaniaであることを自覚した。


小説の方に話を戻す。

本作は加納朋子にしては珍しく暗い印象の話である。歪んだ家庭環境で歪に育った数人の人格が織りなす輪の中心に人形が鎮座する。いつもの穏やかな加納ミステリを望む向きには強くお薦めはしないが、嫌でなければ是非読んでみて欲しい。そして作中の人形に興味を持ったら、天野可淡を検索してみると良い。

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2004-11-16

[]『朝霧の巫女?[[『朝霧の巫女]]』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - [[『朝霧の巫女]]』 - 芹沢蔵書目録 [[『朝霧の巫女]]』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

朝霧の巫女 1 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 1 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 2 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 2 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 3 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 3 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 4 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 4 (ヤングキングコミックス)

ずっと躊躇していたのだが購入してしまった。何故躊躇していたかと言えばこれがラブコメ伝奇漫画*1だからだ。

原型は『妖の寄る家』で堪能していたし,その続編としては期待充分だっただけに巫女萌え漫画としての登場にはかなり落胆した*2

これまでは時折掲載誌でチェックするだけだったが、ここに来てかなりハードに神話的伝奇譚として展開しつつあり,これ以上無碍にはできなくなってしまったので購入。

*1:裏表紙惹句より抜粋

*2短編集等でも萌え漫画家部分の片鱗は見せていたので作者の傾向に幻滅したのではないが、作品としてハードであって欲しかったという意味で幻滅であった

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2004-11-11読んだもの

[]『内なる宇宙』 『内なる宇宙』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『内なる宇宙』 - 芹沢蔵書目録 『内なる宇宙』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈下〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈下〉 (創元SF文庫)

図書館で上巻が紛失していたために永らく読めなかったもの。巨人3部作の続きで、物語は再び驚くべき展開を迎える。

驚きを口に出せばネタバレになってしまうので控えるが、これまで人類の起源を中心に引っ張ってきたこのシリーズがここで初めて違うテーマを扱う。冒頭でホーガンがファンタジーに対するスタンスを述べているが、これは正にその「ホーガン式ファンタジー」である。

上巻はほぼジェヴレンの社会を描いたものとなり、SFとしては少々退屈に思えるだろう。しかし下巻に差し掛かった当たりから話は急転直下する。そこまでは我慢して読み進め、新たなる宇宙を目撃されたい。

[]『順列都市』 『順列都市』 - 芹沢蔵書目録 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『順列都市』 - 芹沢蔵書目録 『順列都市』 - 芹沢蔵書目録 のブックマークコメント

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

グレッグ・イーガン短編集ばかり出ていて、基本的に短編を好まない私は敬遠気味だったのだが、数少ない長編を借りてみようとしたら、例によって下巻紛失で他館借入を待たねばならなかった。

『コピー」の存在そのものに関わる問題は基本的にクローン問題と同根で、特に目新しさはない……と思いきや、純粋情報存在でしか成立し得ないストーリーにシフトして行く下りはなかなか面白い。が、全編を通じて微妙な違和感から逃れられなかった。ルーディ・ラッカーの『ソフトウェア』を読んだ時に感じたような、何か文化的に馴染めないような感覚。

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アーサー・C・クラーク(と名も知らぬ若手作家)の海洋SFというから借りてみたが、正直なところ期待外れ。骨子だけ見ればファーストコンタクトもので、それが海中で行われるという以外に大して目新しさは無い。それならそれでそこそこ面白くも書けようものだが、何故か全編通して主要な登場人物の私生活(主に性生活)の描写に比重の半分程度が置かれているのが鬱陶しい。

「SFにも人間性の描写が必要だ」とか考えた結果がこれなのかもしれないが、そうだとしたら完全に方法を取り違えている。

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宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)

サイバーパンクは(企業が国家と同程度に力を持つ時代を実現するために)何らかの大災害により現在の秩序が崩壊を見た世界を描くのが常である。だが本書でのそうした災害は一風変わったものである。

太陽系を完全に覆うブラックホールの膜。

星空は失われたが地球には何一つ影響は無かった。人類は未だ火星より遠くには行っておらず、太陽系の外側は当面何の影響も無い。それでも人類は恐怖と絶望を感じ、新興宗教が乱立し、カルト集団のテロが横行した。


サイバーパンクはSFの異端児であり、通常先端的な科学理論は一切扱わず、SF的な部分はガジェットとして登場するのみである。科学理論的思考実験ではなく、アイデンティティへの懐疑という哲学的な思考実験を根幹に持つことも含めて特殊であり、少なくともハードSFからは異端視扱いされてきた。

しかし本書は量子力学(最も哲学的な面を持つ物理理論)の領域に踏み込むことで、サイバーパンクとハードSFを両立させてしまった。

ラストにやや肩すかしを食らった感は否めないが、それまでの展開は本当に見事である。

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